見出し画像

エレファントな証明 四色問題

四色定理( Four-color theorem) は、地図の塗り分け方から発生したグラフ理論に関する定理で、証明されるまでは”四色問題”と呼ばれていました。そのため、いまだに”四色問題”として認識されています。この定理は、「平面上のいかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗り分けるには4色あれば十分だ」という定理です。ただし、この定理では”同じ国の飛び地”は考慮していません。そのため、もう少し厳密に表現すると「境界線によって囲まれたいくつかの領域からなる平面図形があり、境界線の一部を共有する領域は異なった色で塗らなければならない、としたとき、4色あれば十分である」となります。

四色問題は、19世紀中頃に認識され、19世後半ころから証明が多くの数学者によって試みられましたが、多くの挑戦者が退けられました。この問題が証明されたのは1976年で、ケネス・アッペルとヴォルフガング・ハーケンによって、コンピュータを利用して証明されました。数学の問題にしては珍しく、コンピュータのプログラムを使った約2000パターンの総当たりの証明は、エレガント(華麗)ではないので、エレガントをもじった”エレファントな(象のようにモッサリした?)証明”と揶揄されました。

その後、証明のためのプログラムは洗練され、現在では四色問題は解決していると捉えられているため、正式には”四色定理”と呼ばれます。四色問題は、高校の数学の授業の時に、先生の雑談で知りました。その後大学生になった時に、コンピュータを駆使して証明されたことを知りました。

数学の定理の証明は、シンプルでエレガントなものが好まれる傾向にあります。そのため、コンピュータを使った”数学的ではない”証明は、数学者には中々受け入れられませんでした。東野圭吾さんの小説『容疑者Xの献身』のなかでも、メインストーリーとは関係ありませんが、四色問題のこと触れられていました。正確な台詞は忘れましたが、「四色問題は証明された。でも美しくない」と登場人物の一人が言っていました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?