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自然災害の予測は本当に難しい

 3月11日に『天災は忘れた頃にやってくる』という記事を書いて、一週間も経たないうちに、東北地方で大きな地震が発生しました。今回は地震でしたが、津波や火山噴火も正確には予測できません。自然災害の中で唯一予測が出来て、事前準備が可能なのは台風ですが、それでも大型台風では人間の小さな力ではコントロールできません。

 今回の地震で、直接的な被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。また、東北新幹線の脱線が例として分かり易いのですが、直接的な被害のあとには、それに関連した副次的な被害が生じます。

 高度に進んだ科学技術を駆使しても、まだ『地震予知』は実用化されていません。地震研究者の中には、「地震予知は不可能なので、防災に力を入れるべきだ」と主張する人が少なくありません。また”地震予知の研究”をしているというと、「ちょっと変わっている人」または「頭がおかしくなったのでは・・・」と思われてしまいます。

 私は”地震予知の研究”には手を出していませんが、個人的には興味があります。地震予知に限らず、”○○は不可能だ!”ということは簡単ですが、最初からあきらめてしまっては科学の進歩はありません。100年前の人に『人類が月に到達した』と言っても誰も信じないでしょうが、いまなら既成事実です。

 つぎに、”地震予知”に関連した面白い本を紹介します。本のタイトルは『地震前兆やいかに~電波による複眼観測~』です。この本では、”地震の前兆が電波を使って観測できるのではないか?”という仮説を立てて研究を進めていく過程が克明に描かれています。最初に仮説の根拠を説明して、測定方法についても詳しく説明しています。最後は、測定データの解析結果と実際の地震との比較検討です。

 結論から言うと、”明確な地震前兆は捉えられなかった”という結論で締め括られています。「な~んだ、やっぱり地震予知はできないのかぁ」と思ったアナタは早とちりです。科学では、”仮説を立てて、それを証明する”ことが重要です。この本は、そのプロセスを踏まえた”正直で真面目な学術本”です。この方法では”地震の前兆”は捉えられませんでしたが、”この仮説が正しければ”、別のアプローチで測定できたかもしれません。

 研究には失敗が付きものです。というか、殆どすべてが失敗と言っても過言ではありません。多くの失敗の末に、最終的に見つかるのが科学の成果といえます。



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