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ハイテクとローテク 柔軟な発想が大事

明けましておめでとうございます。新年最初の記事を何にしようか迷いましたが、私も一応は理系研究者の端クレなので、テクノロジーについて書こうと思います。新年の話題として相応しくないかもしれませんが・・・。

今ではあまり耳にすることはありませんが、ハイテクという言葉があります。これはハイテクノロジー(high technology)の略で、高度な科学技術のことを指します。コンピュータに関して言えば、その後、ITアイティIoTアイオーティなどの用語が出てきて、独自の進化を遂げています。もちろん、両方の略語に入っているTはテクノロジー(Technology)のTです。ちなみに、ハイテクの反対語はローテク=ローテクノロジー(low technology)で、昔から使われてきた技術のことを指します。

21世紀の私たちの身の回りは、昔では考えられないようなハイテク製品で溢れています。私が小学生の頃、ウルトラセブンで見た時計型の通信機(小型のテレビ電話)は、当時はSF的なハイテク機器でしたが、現在なら普通の商品です。このように、技術は日々進歩していくので、これからどんなハイテク製品が現れるか、ワクワクします。

しかし、ハイテクだけが素晴らしいのでしょうか?。私は”ハイテク遺跡探査”と称して、考古遺物の探査などの研究していますが、その遺跡探査で知り合った先生から、ある先生のとても面白い話を聞きました。これは、ハイテクとローテクを考える時に教訓となる話です。

話に出てきた水中考古学の先生は、自らも潜って海底に埋もれた遺物の調査をしていたそうです。そのときに問題なのは、遺物を海底から手作業で掘り出そうとする場合、陸上と違って砂や泥が舞い上がって水が濁ってしまい、とても厄介だということです。そこで、その先生は知り合いの業者に、水を高圧で噴射して砂や泥を取り除く装置の見積りをお願いしました。その依頼を聞いた業者の人は、先生の話を聞いてこう言いました。「先生が欲しい装置を作ることはできますが、値段が数百万はかかりますよ」。その先生は仕方なく、ハイテク装置の開発を断念しました。

その後どうなったかというと、この問題は驚くような方法で解決しました。それは、”水鉄砲”を使うことでした。水鉄砲は、子供たちが夏場に使って遊ぶ、あの”水鉄砲”です。水鉄砲は、安価(数百円?)で購入できますし、水中なら水の供給を心配する必要はあります。しかも、水鉄砲の水圧は、自分の指で微妙な調整ができるのです。さらに、小型で持ち運びにも便利です。

お金をかければ解決する問題もありますが、お金をかけずとも知恵や発想で解決できる問題もあります。21世紀になった現在でも、解決できない問題は沢山あります。そんな問題も、発想の転換で解決できるかもしれません。今こそ、自由で柔軟な発想が求められていると思います。

ずいぶん前に知り合いの人から、こんな名言(?)を頂きました。「知恵のある奴ぁ知恵を出せ。知恵の無い奴ぁ汗を出せ。汗の無い奴ぁ辞表出せ」。この極端に思われるかもしれない名言でも、最も重要なのは”知恵”になります。この世界から、貧困・紛争・飢餓・病気は無くなりませんが、少しでも良い世の中になって欲しいと願っています。そのソリューションのカギは、”知恵に基づいた柔軟な発想”だと思っています。

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