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限りある温泉資源

昨日のNHKの『クローズアップ現代』、略称・クロ現で、"温泉の枯渇"問題が取り上げられたいました。7時のニュースの後だったので、たまたま見たのですが、温泉の現状を知ることができる貴重な番組でした。

温泉は、地中からお湯が湧き出している現象や場所、またはお湯そのものを示す用語です。さらに、そのお湯(熱水泉)を用いた入浴施設や、それらが集まった地域(温泉街、温泉郷)も一般に温泉と呼ばれます。

温泉は二種類あって、熱源で分類すると、火山の地下のマグマを熱源とする火山性温泉と、火山とは無関係に地熱などにより地下水が加温される非火山性温泉に分けられます。

我々が一般的に温泉と認識するのは、40℃前後の入浴に丁度良い温度のお湯です。しかし、日本の温泉法の定義では、25℃以上あれば温泉になります。ただし、ヨーロッパのイギリス・フランス・ドイツでは20度が、温泉の基準のようです。また、必ずしもお湯の温度が高くなくても、普通の水とは異なる天然の成分が含まれる場合は、温泉とみなされます。

クロ現の取材によれば、温泉地での湯量が減少傾向にあるようです。温泉県を自認している大分県の、湯量が日本一の別府温泉でも、一部の地域では温泉の湧出量が減少しています。別府では、一般家庭にも温泉水がひかれている所もあるくらい、お湯の量が豊富です。しかし、その別府でさえ湯量が減少傾向にあるようです。

温泉は、天水(雨水)が地下に浸透したものが地下の熱で温められて温泉になるのですが、その循環には数十年から数百年単位の時間がかかります。また、深い井戸(1000m程度)から出てくる温泉は、太古の昔に閉じ込められた天水ですから、一度取り出してしまえば、新しく供給されることはありません。

温泉愛好家の間では、”源泉かけ流し”と呼ばれる、温泉を大量に消費する方式が好まれています。しかし、このような”湯水のように”温泉を無駄遣いする方式は、安定した温泉水の供給のためには、決して褒められたものではありません。地下から出てくる多くの資源には、限りがあります。温泉もその例外ではないのです。

地熱発電で利用された蒸気は、復水器と呼ばれる施設でお湯に戻され、その後は還元井から地下に戻されます。地熱蒸気に含まれる火山性ガス成分を除けば、大部分の蒸気や熱水は元の場所である地下に戻されます。そういう意味でも、地熱発電は資源を無駄にしないエコな発電方式だと言えます。

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