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バークレーの思い出#1 CALの概要

 記憶が薄れかけてきたので、備忘録として、20年以上前に訪問研究員として滞在していたカリフォルニア州バークレーでの思い出を書こうと思います。バークレーはサンフランシスコの対岸にある、比較的小規模な大学街です。

 カリフォルニア大学バークレー校 (University of California, Berkeley) は、カリフォルニア大学の発祥校であり、10大学からなるカリフォルニア大学システムの中で最も古い歴史を持つ大学です。英語の略称はUCBですが、カリフォルニア大学本校の自負があるので、UCBと呼ばずにCALと呼ぶのが普通です。また、この大学は各種世界大学ランキングで常に最上位に位置する教育機関です。もちろん、勉強だけではなく、スポーツや芸術でも有名人を多数輩出しています。

 大学敷地内の丘の上には、ノーベル物理学賞を取ったアーネスト・ローレンスの名前を冠したローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBLまたはLBNL)と呼ばれる、アメリカ合衆国エネルギー省の研究所があります。ここでは、物理、化学、生命科学、コンピュータ・サイエンス、エネルギー工学、ナノテクノロジー、環境工学などの広い分野にわたる研究が行なわれています。この研究所は、カリフォルニア大学バークレー校の所有地内に設置されていますが、同校の付属研究所ではなく独立した組織です。

 私は電気探査の権威であるフランク・モリソン教授のもとで訪問研究員をしましたが、モリソン教授は大変多忙な人で、1年間で会ったのは10回くらいでした。初めて大学に行く日は、モリソン教授が車で迎えに来てくれて、キャンパス内を少しだけ案内してくれました。最初にロースクールの近くを通た時には、「あれはアメリカの一番の癌だ」と冗談交じりに教えてくれました。それから少し行くとビジネススクールがあって、そこでは「ここがアメリカの二番目の癌だ」と教えてくれました。

 もともと資源系の先生たちは、伝統あるマイニングビルディングと呼ばれる建物にいたのですが、私が行った時は、少し前のカリフォルニア地震の被害に遭い閉鎖中でした。そのため、モリソン先生たちは、キャンパス内と丘の上の研究所内にある2つの部屋を行き来していました。

 私は九州大学工学部の資金で行かせてもらっていたので、訪問研究員と言っても研究ノルマは無く、のんびりとした研究生活を楽しませてもらいました。ただし、学会で1週間程度滞在するのと、1年間住むのでは大きな違いがありました。特に最初の半年間は、いろんなトラブルに見舞われることになりました。

 今回はプロローグとして、CALの概要をお話しましたが、次回からは様々なトラブルを紹介したいと思います。これから、海外で生活することを計画している人は、私を反面教師にして下さい。

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