見出し画像

ぶったん四方山話#3 臨機応変が大事!!

 物理探査のフィールド調査では、事前に準備を十分していても、想定外のことが起こります。ですから、フィールド調査ではその場で何とかする臨機応変の対応力が大事です。

 今から随分前ですが、東北地方の雄勝という場所で、電力中央研究所が高温岩体発電の研究をしていました。こう岩体発電のためには、高圧の水で地下深部にある硬い岩盤を割る必要があります。これを水圧破砕と言いますが、この水圧破砕のモニタリング技術として、流体流動電位法を電力中央研究所に提案していて、この場所で共同研究を実施していました。

 それまでのプロトタイプ装置を改良して、新たな測定システムを開発し、水圧破砕によって地下の水の流れがどう変化するかをモニタリングするかが、この研究の目的でした。しかし、本番の実験前に背景ノイズを測定すると、かなり大きなノイズがあることがわかりました。このままでは、実験がうまくいかない可能性がありました。

 現場では、いろいろな対策が考えられて、試せるものは試してみましたが、どれもうまくいきません。それを見ていた、同行の大学院生(のちのT先生)が、「部品があればですが、即席のノイズフィルタが作れます」と提案してくれました。結局、不要な小型ラジオを分解して、コンデンサを抜き取り、高周波ノイズをカットするパッシブフィルタを現場で作りました。パッシブフィルタなので、ノイズを全て除くことはできませんでしたが、測定には十分なノイズ低減が出来ました。

 この例は、かなり特殊かもしれませんが、フィールド調査では、『現場で何とかする力』が必要です。仕事に限らず、臨機応変が大事です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?