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『厄介者』が世界を救う!?

 ドローンは、人が搭乗しない無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle: UAV)のことを意味する広い概念ですが、我々がイメージするドローンは、ヘリコプターのような無人機です。ドローンは英語でdroneといい、元々は巣にいても働かないオスの蜂(=厄介者)を指す言葉です。ただし、ドローンにはもう一つ”(ハチなどの)ブンブンいう音”と言うのがあって、プロペラ音の騒音から名付けられたようです。

 ドローが出現した当初は、プロペラが4つあるので、クアッドコプター(4つのプロペラがついた飛行機)と呼ばれていました。その後には、プロペラが6個または8個あるような機体も開発されています。クアッドコプターという名称は、日本人には発音し難いのか、いつのまにか愛称である”ドローン”という言葉の方が普及しました。

 最初のドローンはペイロード(荷物の搭載重量)が小さかったので、もっぱら空撮や玩具として使われていました。しかし、ドローンが普及するとプロペラやバッテリーの性能が向上し、かなり重いものまで積載できるようになりました。現在では、人まで乗せられるようになっています。ドローンのカテゴリーは無人機なのに・・・。

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 ドローンが世に出る以前、物理探査学研究室では、”飛行船を用いた空中からの地雷探査”の研究をしていました。その当時、カンボジアでの対人地雷の非人道性が広く知れ渡り、日本でも地雷探査の研究が様々な大学で実施されました。その当時、ドローンは影も形もありませんでしたから、我々の研究グループでは”小型の飛行船”を使うことにしました。小型の飛行船は、通常の飛行機と違い、浮かびながら前後左右に移動できるので、地雷探査にはうってつけだと考えました。

 しかし、実際に屋外で実験してみると全くうまく行きませんでした。無風の体育館での実験では思い通りに移動できるのですが、屋外に出ると微風でも制御が難しくなりました。これは、飛行船が小型と言っても、長さが2-3mほどもある回転楕円体なので、風の影響をモロに受けたのでした。空中から探査するというコンセプトは斬新で、面白いものでしたが、飛行船の使用は断念せざるを得ませんでした。

 その研究が頓挫してしばらくした頃、ドローンが普及し始めました。研究にタラ/レバはありませんが、もし当時にドローンが出現していたら、研究の流れは変わっていたかもしれません。我々のアイディアの方向性は間違っていませんでしたが、時代を先取りしすぎました。カッコつけて言えば、時代が我々に追い付いていなかったのでした。

 ドローンは、いまや様々な分野に利用されようとしています。今後の応用が楽しみです。

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