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可及(火球)的速やかに・・・

2022年8月18日夜7時20分すぎ、南関東や静岡県などを中心に、広い範囲で火の玉のようなものが上空を流れ落ちたという目撃情報がSNS上に相次ぎました。これは、流れ星の中でも特に明るく輝く火球と呼ばれる現象だそうです。

火球かきゅう(bolide, fireball)とは、流星の中でも特に明るいもので、星の等級で言えば「絶対等級が-4等級よりも明るい流星」だと定義されています。大気圏に突入した太陽系小天体は、摩擦熱で高温となり、小さいものであれば大気中で燃え尽きてしまいます。また大きなものは、燃え残って地表に隕石として落下します。このどちらの場合も、一定以上の明るさで光れば、火球と呼ばれます。火球の生じる時間は短いので、明るい流星を火球と判断するのは主観によります。明るさに、厳密な境目はありません。

火球は、英語ではファイアボール (fireball) またはボーライド (bolide) と呼ばれますが、アメリカ流星協会では、特に最後に爆発をともなう火球を bolide として区別しています。また、火球は経路に沿って衝撃波を形成し、火球が大きな時にはしばしば大きな衝撃音(ソニックブーム)が地表まで届きます。その音が大きな場合には、大砲か遠雷のような音を響かせ、人々を驚かせることもあります。2013年のロシア・チェリャビンスク州の隕石落下では、衝撃音の範囲が180×80kmに及んだとされています。

私は火球を見たことがあると思っています。”思っています”と書いたのは、自信が無いからです。ある日の午後、何気に空を眺めていたら、オレンジ色の光が斜めに空を横切って行くのが見えました。「火球だ!」と思って、可及かきゅう的速やかに、その後のニュースなどを調べたのですが、話題にあがっていませんでした。少し調べてみると”飛行機などの羽が太陽光を反射して、火球のように見える場合がある”という説明を発見しました。私は火球だと思っていますが、飛行機なのかもしれません。

火球とは違いますが、球電きゅうでんという現象があります。球電(Ball lightning)は、大気中を、帯電して発光する球体が浮遊する物理現象です。目撃例の多くは、赤から黄色の暖色系の光を放つものが多いとされています。大きさは10 - 30cmくらいのものが多いが、中には1mを超えるものもあるそうです。発生原理には、古典電磁気学を用いたものから量子力学によるもの、単なる眼の錯覚として球電の存在を否定する主張など諸説あり、未だ発生や作用原理の証明にまで至っていません。

火の玉(球電?)

早稲田大学の元教授・大槻義彦《おおつきよしひこ》先生は、球電の物理学的研究の第一人者で、1990年、電磁波で火の玉を作ることに世界で初めて成功したそうです。大槻先生は、”火の玉”はプラズマ現象の一つである球電であり、鬼火や狐火などと呼ばれる心霊的現象ではなく、科学現象である可能性の一つを提示しました。

ずいぶん昔になりますが、物理探査学会の特別講演で『火の玉』の話を聞いたことがありました。話の導入部で、会場の聴衆に向かって「この中で火の玉を見たことがある人は手を挙げて下さい」と質問したところ、数名が手を挙げました。私は火の玉は見たことが無いのですが、ふと横を見ると私の恩師が手を挙げていました!。

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