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研究室の伝統の継承

学術的な研究は個人が主体(中心)ですが、大学によっては”研究室の伝統”みたいなものはあります。私が所属している九州大学の物理探査学研究室では、その昔から電気探査や電磁探査を得意としています。

もともと、九大の物理探査学研究室は”日本初の物理探査学講座”の流れを汲んでいる経緯があり、その時の初代教授・小田二三男先生が電気探査の研究を開始したのが九大の物理探査学のスタートでした。その後の野口教授、小野寺教授は引き続き電気探査がメインでしたが、乗富教授、牛島教授の時代になると電磁探査の研究が含まれるようになりました。

私の研究も、スタート時は電気探査でしたが、徐々に電磁探査のウエイトが増していきました。また、物理探査の応用分野の対象として遺跡探査を依頼されるケースが増えて、地中レーダ探査や磁気探査も研究するようになりました。いまでは、弾性波探査・反射法を除けば、ほぼ全ての探査の経験があります。

指導教員の能力や資質もあって、研究室の研究内容はある程度決まってきます。ただし研究は個人の自由なので、それ以外の研究を妨げるものではありません。実際、これまでの学生の中には、電気探査・電磁探査以外の磁気探査や重力探査の研究を実施した学生もいました。また数は少ないですが、弾性波探査・屈折法の研究をした学生もいます。

研究に関して言えば、伝統は引き継ぐだけでは守れません。新しいイノベーションが無ければ、研究は維持どころか後退していきます。私に残された時間は少なくなりましたが、イノベーションを起こすべく、日々奮闘努力しているつもりです。

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