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文理融合について

『文理融合』という言葉を聞いたことがありますか?。文理融合型教育とは、これまでの大学教育の現場で一般的に使用されていた文系/理系という学問的枠組みにとらわれず、領域横断的な知識力と発想力を学生に習得させようとする教育方針のことです。

九州大学は、文理融合を掲げる『共創学部』を2018年度に新設しました。ここで言う”共創”とは、構想・協働・経験のサイクルを繰り返して課題を能動的に解決していく力のことを指しています。九州大学以外にも、文理融合を掲げる学部の新設が増加しています。例えば最近話題のデータサイエンス分野では、理系的な専門知識だけではなく人文学的知識や社会科学的知識についての素養も要求されます。

こうした動向の背景には、多角的な視点と豊かな技術力を兼ね備えた人材への社会的ニーズが高まっている事情があります。グローバル化やIT化が急速に進展する現代社会では、必ずしもひとつの専門知識にのみ習熟しているスペシャリストが優秀な人材として重宝されるとは限らないのです。

文系的な知識と理系的な知識をバランスよく兼ね備えたゼネラリスト人材の育成は、従来の教育カリキュラムでは限界があります。そこで大学は、学部再編による文理融合に取り組むことで、将来の社会で活躍できる学生を輩出できるようにする環境を整えようとしています。しかし、社会に役立つ能動的な課題解決能力は、一朝一夕には身に付きません。

文理融合型教育は、文系カリキュラムと理系カリキュラムを適当に混ぜればできます。しかし、文理融合型研究は、その人が持つ能力にもよりますが、実現はなかなか難しいのです。私はガチ理系ですが、考古学や歴史に興味があるので、遺跡探査の研究をしています。このような文理融合した研究分野は数少ないのでです。遺跡探査の研究者は絶滅寸前で、ただいまトキ状態です。”日本のトキ”は絶滅してしまいましたが、遺跡探査の研究者も絶滅してしまえば復活させるのは、トキと同じでとても難しいのです。

文理融合型教育が実を結び、遺跡探査のような文理融合型研究を目指す若者が出てくることを期待しています。

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