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バークレーの思い出#14 サンフランシスコのお医者さん Dr. Lee

 バークレーにいた1年間、幸いにも私は一回も医者のお世話にはなりませんでしたが、妻や娘は何度もお世話になりました。バークレー滞在中の家族のかかりつけ医が、サンフランシスコのドクター・リー(Dr. Lee)でした。

 ドクター・リーは、日本で生まれ育った中国人で、アメリカの大学を卒業して、アメリカで医師免許を取得したと話していました。なので、日本語英語はペラペラです。また、独学でスペイン語もマスターしていたので、患者には中国人、日本人、中南米の人たちがいました。この病院に行く時には、近くの駐車場に車を止めるのですが、そこの駐車場係から「どこへ行くんだい」と話しかけられたことがありました。「ドクター・リーのところだよ」と答えると、その係員は「日本人はDr. Lee、中国人もDr. Lee、ヒスパニックもDr. Lee、みんなDr. Leeだ!」と冗談を言っていました。

 ある時、ドクター・リーが妻の薬の処方箋を書いている時でした。電話がかかって来たので、そのことでスタッフと英語でやり取りしています。その後ドクター・リーは、スタッフから電話を受け取ると流暢なスペイン語で話し始めました。電話が終わるとスタッフに英語で指示を出して、私達には「はい、処方箋です」と日本語で対応します。この人の頭の中は、一体どうなっているんだろうと本当に驚きました。

 ドクター・リーは、アメリカに帰化はしていないようでしたが、アメリカの永住権(グリーンカード)は持っているようでした。このような超人的なドクター・リーは、充分働いてお金が貯まったら、50代でリタイヤしてのんびり暮らしたいと言っていました。その当時、まだFIRE(Financial Independence, Retire Early)という言葉はありませんでしたが、ドクター・リーは、すでにそのような考え方を持っていました。

 当時のドクター・リーは、アラフォーの年齢でしたから、たぶん今頃はアメリカのどこかで悠々自適な生活をおくっていると思います。

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