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地熱発電所巡り#1 山川地熱発電所

 山川(やまがわ)地熱発電所がある指宿市・山川は鹿児島県・薩摩半島の南東端に位置し、琉球との貿易カツオ漁業の基地として古くから栄えた港町です。山川発電所は、海岸に近い田畑に囲まれ、開聞岳の眺望が美しい所にあります。日本のほとんどの地熱発電所が、山奥の起伏が激しい場所にあるのに対して、山川地熱発電所は例外的に海のすぐ近くの平坦な場所にあります。この地域は霧島錦江湾国立公園に近く、四季の変化に富む雄大な自然に加えて、天然砂むし温泉や新鮮な魚介など多彩な魅力を備えた観光地でもあります。

 山川町の伏目地区にある山川地熱発電所は、平成7年3月運転を開始しました。この地熱発電所は、鹿児島県内では第1号、九州では大岳、八丁原に次ぐ3番目、全国では7番目に建設されました。山川発電所では、地下2,000mから2,500mの地点にある地熱貯留層から高温の蒸気を取り出し、タービンを回転させて発電します。山川地熱発電所の出力は3万キロワットで、約1万5,000世帯の電力を賄うことができます。

 このあたりの年間降水量は約1600ミリ、年間の平均気温が18.1度なので、南国・鹿児島でも特に亜熱帯的な雰囲気を持つ地熱地域です。また、近くには薩摩富士の別名を持つ開聞岳を望むことができる、美しい景観となっています。発電所内にも景観が配慮されていて、敷地内にはフェニックス・ソテツ・ワシントンヤシ・ハイビスカスなどの亜熱帯樹木や花が植えられ、周囲には美しい緑の芝を張りめぐらせています。まるで、南の島の庭園を思わせるような、ナチュラルな魅力にあふれた発電所です。

 山川地熱発電所には、現在イチオシの流体流動電磁法の基礎実験と、流体流動電位法調査のために訪れたことがあります。流体流動電法は、地下の資源流体(ここでは地熱流体)の流動に伴って発生する電位変化を捉えることで、地下流体の動的挙動を把握するモニタリング探査法です。また、流体流動電磁法は流体流動電位法の進化形で、地下流体の流動に伴う電磁場変化に着目しています。

 この山川地熱発電所での基礎実験の結果、流体流動電磁法の探査理論を確認することが出来ました。


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