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そのエビデンスは本当ですか? ビフォー&アフター

ダイエット食品やスポーツジムのCMでは、必ずと言っていいほど、痩せる前(before)と痩せた後(after)の写真が対比されて、その効果を目に見える形で示しています。顔を見れば、どちらも本人ということは分かりますが、本当に痩せたのでしょうか?。

私は疑り深い性格なので、ひょっとすると痩せている方がbeforeで、太った方がafterなのではないかと邪推したりします。写真は確かに本人でしょうが、時間のエビデンスがありません。動画などで、痩せていく時間経過がわかれば確実ですが、静止画だけでは本当のことがわかりません。

ダイエットのビフォーアフターは話の導入ですが、同じものの時間的な変化を比較することは、モニタリングといって結果を評価する際の重要な手法です。ビフォーアフターでは、時間経過前と経過後の2つの状態しか比較しませんが、途中経過を詳しく記録していれば、その期間中の変化の様子を調べることができます。

カーボンニュートラルの切り札と考えられている二酸化炭素の地中貯留では、二酸化炭素を地中に注入するので、地下が以前の状態と大きく異なってしまいます。また、地中に注入した二酸化炭素がそのまま留まる(貯留する)かどうかは、モニタリングして監視する必要があります。

地下資源の探査を目的とした物理探査は、お目当ての資源が見つかってしまえば用無しです。しかし、二酸化炭素の地中貯留では二酸化炭素の漏洩モニタリングとして、地熱発電ではサステイナブルな地熱エネルギーの利用のために地熱貯留層のモニタリングは欠かせません。

物理探査の利用は資源探査に留まりません。資源を見つけた後でも、安定した利用のためのモニタリングとしての利用法もあります。九州大学で開発した流体流動電位法や流体流動電磁法は、地下の資源流体のリアルタイムモニタリングを目的とした新しいコンセプトの物理探査法です。

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