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ぶったん箸休め

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物理探査のことを略して、物探(ぶったん)と呼びます。ここでは、物探とチョッとだけ関係ある話題を集めました。智の箸休めです。楽しんで下さい。
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#電気探査

上が正解? 下が正解?

野外フィールドで電気探査を実施する場合、電線(ビニール線)を数kmにわたって設置することがしばしばありました。電気探査は2点間に電流を流したり、2点間の電位差を測定したりするので、2点間が電線によって接続されている必要があります。 この電線の長さは5-6kmにも及ぶことがありました。基本的には道路わきを利用して敷設しますが、山間部の調査では、森や茂みの中を通さないといけない場合もあります。こんな時は、野生生物による電線の切断のリスクがあります。 通常、電線は地面のうえに這

研究室の伝統の継承

学術的な研究は個人が主体(中心)ですが、大学によっては”研究室の伝統”みたいなものはあります。私が所属している九州大学の物理探査学研究室では、その昔から電気探査や電磁探査を得意としています。 もともと、九大の物理探査学研究室は”日本初の物理探査学講座”の流れを汲んでいる経緯があり、その時の初代教授・小田二三男先生が電気探査の研究を開始したのが九大の物理探査学のスタートでした。その後の野口教授、小野寺教授は引き続き電気探査がメインでしたが、乗富教授、牛島教授の時代になると電磁

フィールド調査日記@えびの 2日目

天気を心配しつつ、今朝は7時にホテルを出発しました。近くのコンビニで昼食を仕入れて、いよいよ出発です。野外調査でも、近くの食堂だどがある場合は、昼休みも兼ねてゆっくりランチをするのですが、今回の調査地周辺には食べ物屋さんがないので、仕方なくコンビニ飯です。夏場は腐敗の心配もありますから、買った食べ物と飲み物はロックアイスとともに、クーラーボックスに入れました。 今日の予定は電気探査(比抵抗法)ですが、これは前回の疑問点を解消するためのものです。前回、我々に試作機で測定した表

私が経験した物理探査

 物理探査学研究室では,日本の各地や海外において様々な現地調査や共同研究を行ない、地下水・温泉・地熱資源の発見や古墳内の可視化などの多くの成果をあげています。今回は私が実際に行って調査した場所を挙げています。記事というより、探査したフィールドの備忘録です。単なる場所の羅列ですが、どこでどんな調査をしたのかが分かると思います。 地熱探査  大分県九重町・八丁原(比抵抗法,流電電位法)  大分県九重町・滝上(流体流動電位法)  大分県久住町(流電電位法)  大分県湯布院町(流体

はじめての物理探査

 「はじめてのお使い」ならぬ、「はじめての物理探査」の話です。  本格的な物理探査を体験したのは、大学4年生の時でした。場所は、八丁原地熱発電所がある筋湯周辺でした。当時の大学は7月初旬から9月初旬までの2か月間が夏休みで、9月に二週間ほど講義があって、それからが前期の試験期間でした。試験終了と後期の始まりには一週間ぐらいの余裕があって、その期間を”試験休み”と称していました。  試験休みに研究室でノンビリしていたら、野外調査に行っているはずの先輩がひょっこりと部屋に現れ