上が正解? 下が正解?
野外フィールドで電気探査を実施する場合、電線(ビニール線)を数kmにわたって設置することがしばしばありました。電気探査は2点間に電流を流したり、2点間の電位差を測定したりするので、2点間が電線によって接続されている必要があります。
この電線の長さは5-6kmにも及ぶことがありました。基本的には道路わきを利用して敷設しますが、山間部の調査では、森や茂みの中を通さないといけない場合もあります。こんな時は、野生生物による電線の切断のリスクがあります。
通常、電線は地面のうえに這わせますが、偶然”けもの道”などを横切ってしまうと、野生動物(齧歯類?)に噛まれて切断されることがよくありました。樹木などが無い草原では地面に這わせるしかないのですが、森などでは樹木の枝に引っ掛けながら電線を張ることができます。
空中に電線を張れば、ノウサギや野ネズミなどの小動物によって噛み切られることはありません。ある調査で、電線を樹木を利用して電線が張れたので安心していましたが、調査の途中で断線が確認されました。不思議に思って断線した場所を特定したら、空中の電線が切られていました。
私が見たわけではありませんが、断線の補修に行ったグループが、日本猿が電線にぶら下がっている光景を目にしたそうです。電線の配線場所は下も駄目で、上も駄目でした。
毎回必ず切られるわけではないのですが、高確率で電線の断線は起こりました。残念ながらフィールド調査の電線敷設には、正解は無いようです。
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