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はじめての物理探査

 「はじめてのお使い」ならぬ、「はじめての物理探査」の話です。

 本格的な物理探査を体験したのは、大学4年生の時でした。場所は、八丁原地熱発電所がある筋湯周辺でした。当時の大学は7月初旬から9月初旬までの2か月間が夏休みで、9月に二週間ほど講義があって、それからが前期の試験期間でした。試験終了と後期の始まりには一週間ぐらいの余裕があって、その期間を”試験休み”と称していました。

 試験休みに研究室でノンビリしていたら、野外調査に行っているはずの先輩がひょっこりと部屋に現れました。「○○さん、どうしたんですか?」と私が聞くと、「野外調査の人手が足りないので、4年生全員に来て欲しい」と言われました。当時の指導教官は厳格な先生でしたし、先輩はいい人だったので、断る理由はありません。結局、連絡がついた3-4人が。その日のうちに拉致されて、九重に向かいました。

 はじめての野外調査で、どんな服装が良いのかもわからずに到着した九重でしたが、秋の九重の寒さを想像していませんでした。福岡の10月初旬はまだまだ暑いのですが、九重の山の上は結構な寒さでした。その時の調査は電気探査の”比抵抗法”で、重たい測定機や、測定機のためのバッテリーを担いで会頭山の頂上まで登りました。

 最初の仕事は、トランシーバの指示に合わせて、電線を切ったり、つないだりする仕事でした。最初は本部の近くの作業でしたが、測定が進むにつれて、本部からどんどん離れていきました。寒い山の中で、しかも一人ぼっち。風も結構強かったので、ぶるぶる震えながら、トランシーバの指示を待っていた記憶が蘇りました。

 この探査は初めての経験だったこともあり、実に大変でしたが、このあともっと大変な探査を経験することになりました。機会があったら、その話も書きたいと思います。

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