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CASE.03外になる家

第2第4土曜日に更新しています。『上田英和の住宅設計note』

このnoteは、今まで設計してきた住宅がどのようなストーリーで出来上がったのかを、設計士としての独自の視点で書いていく企画です。

写真とスケッチを元に、設計した当時にどのような思考でつくっていったかを振り返りながら、お届けしていけたらと思います。

主に、お施主さんのご要望から導き出すコンセプトや、こだわりのポイント、周辺環境との関係から生まれる住空間をどのように考えたかについて書いていきます。

第3回目は外になる家について書きたいと思います。

今回はコンセプトを実現するためのオリジナルディテールについても書いてますので、詳細部分は有料記事になっています。興味ある方はどうぞ。。


敷地条件:静かな住宅分譲地

敷地条件は、山間の静かな分譲地の角地で、北側と東側に道路、南側と西側は宅地という周辺環境の敷地でした。

南側の宅地の向こう側には山があり、計画当初は南側に建物がなく良い借景を得ることが出来ていました。(現在は建物が建っています。)


ご要望:アウトドアを楽しみたい

お施主さんのご要望は

・アウトドアが好きで家でも庭を活用してアウトドアを楽しみたい
・アウトドア用品を収納メンテナンスできる場所が欲しい
・間取りはシンプルで広がりを感じるものがいい

という感じで、本当にアウトドアが大好きなご家族でした。


プランニング:内部と外部をつなげる境界の設え

このご要望を聞いて、最初に考えたのは、庭との繋がり方です。
開口部を開いて繋がった時と、閉じた時のメリハリが大事だと考えました。

開口部のお話をの前に、2つ目の・アウトドア用品を収納メンテナンスできる場所が欲しいについては、車にアウトドア用品を載せ易く、メンテナンスも用意にできる土間部分を含めて、動線を考慮して趣味部屋を設計しましています。

では、改めて開口部のお話です。

アウトドアを楽しめるをコンセプトとして考えたとしても四六時中外部と繋がっていては、やはり疲れますよね。開口部を開け放てば思いっきり外と繋がり、閉じればしっかりと守られた空間が良いと思いました。

前回の「庭と暮らす家」の時も外部と内部の繋げ方を考えて設計しましたが、今回も同じく外部と内部のことですが、空間の操作の方法は全く違うことを考えました。

ウッドデッキで境界を曖昧にする

木造住宅だと、基礎の高さが決められています。なので、どうしても地面と床に50センチほどの段差が出来てしまいます。ここをこの段差のままにしてしまうと、内部空間と外部空間が分断されてしまいます。そこで、内部と外部をつなげる為に、内部の床面と高さを揃えたウッドデッキを南側と東側に大きく取りました。

ウッドデッキを使って外とつなげる手法はみなさんされていると思いますが、今回はLDKの2面を大胆にウッドデッキで囲いました。この2方向に面している開口部を開けることで、内部空間の拡張を意図しました。

面積としてはLDKとほぼ同じほどの広さのウッドデッキを敷きました。これによってウッドデッキ部分でゆっくり寛いだり、食事をとることもできます。この大胆な方法で、内部空間の延長でアウトドアを楽しむ環境を作りました。

そこから、さらに内部と外部の境界を曖昧にする為にディテールを考えました。

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