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動機

 「何故この仕事をやっていますか?」
この問いに即答できる人はそんなに多くはない。自分が何に価値を見出しているか、知っている人は意外と少ないのだ。

 僕はこの仕事を、障害者の両親、兄妹、すなわちご家族のために働いている。
泣いても笑っても一度の人生を、誰もが自分のために使ってほしいという気持ちからだ。

 これまでに重度知的障害のある子供の家族が、子供が成人してからもずっと家族総出で養護をしている姿をたくさん見てきた。
 でもその中には、夫婦や友達と旅行に行ったり、自分のための時間が欲しいと思っている人も多かった。思うように仕事ができないという人もいた。

 僕はそう感じている人に、福祉サービスを提供して、それぞれが望む生活に貢献出来た時が一番「やってて良かったな」と感じる瞬間だと知った。ちなみに自分のこの考えに気付いたのは4年位前だったと思う。16年もやってて…

 グループホームやショートステイも気軽に使ってほしいと思っている。グループホームに入居したからといって"今生の別れ"ではないのだ。
 生活スタイルに合わせて自宅とホームを行き来できるし、合わなければ止めてもいい。ショートステイなんて近場のホテルに泊まりに行くくらい気軽に使ってほしい。

 通所系の施設では、宿泊ではなく日中出掛けるだけだけど、当事者は家ではできない体験ができるし、気の合う友人や支援者にも会えるかもしれない。
 僕は通所系施設はグループホームの準備期間にもなると考えている。

 今の日本の制度だと、重度障害者が自宅以外で暮らそうと思うとグループホームになる可能性が高い。そうなると必然的にある程度、他者を意識するような"集団での適応力"が必要になる。
 通所系施設はそのハードルを少し下げてくれる、そんな役割もあると思っているのだ。


 自分の軸があれば、少々辛いことがあっても頑張れるし、うまくいかない時があっても心が折れることはない。
 「自分が何を考えているか」「この仕事で誰にどう貢献したいか」、自問自答をしてみてほしい。

 福祉の仕事は本当に素晴らしい。23才でこの仕事を始めてからずっと感じている。
 どの部分を切り取っても、自分が成長できている、障害者の家族に貢献できている、と感じている。正しく「嫌われる勇気」の"他者貢献"を感じ続けている。

 そんな仕事に出会える人は少数らしいから僕は本当に恵まれているのである。
 誰かに返しても返しても返しきれないほど恵まれているから頑張るのみなのだ。

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