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何かあったらどうするの?

田中ひではる

 僕の嫌いな言葉である。この言葉の中には支援者側の都合がふんだんに含まれているからである。
反対に「何もしなかったらこの人どうなるの?」と聞きたい。
もしものことが起きるのを恐れて、ご利用者が体験する機会を失うのはどう思う?ゼロリスクがご本人やご家族は喜ぶだろうか?
 あなたはどう思う?

 あなたは「飛行機が落ちたらどうしよう?」と思って旅行に行かないだろうか?
「人混みは嫌い」と言って大好きなアーティストのコンサートに行かないだろうか?

 「何かあったらいけないから止めとこう(止めさせよう)」。そんな人生楽しくもなんにもない。準備不足はあっても失敗なんてないのだ。
障害のある人も僕たちと同じように準備不足を経験する権利を持っている。

 何もして(させて)あげないのは"塀のない刑務所"みたいなもんだ。僕の好きな映画「ショーシャンクの空に」では、刑務所の中ですら自由を謳歌している人たちもいたというのに。
 そこでは仲間と共通のルールを共有し、タバコを吸い、酒を飲み、音楽を聞く権利を勝ち取り、みんなで語らっていた。新入り(新しい囚人)が来たらルールを教えてやっていた。

 特にグループホームで過ごす時間の長い人は、施設側の努力でQOLが変わる。QOL、すなわち人の人生を質を決めるような仕事をしているのだ。
その人がニカッと笑う時間を毎日作ってあげたい!オシャレなお店で良い景色と美味しいご飯を食べて欲しい!
 ○○してあげたい!が形に出来る事業だ。

 しかし手を抜けば手を抜いた分だけ、そのご利用者の生活の質は下がり荒れる。僕たちがそんな采配を持っていることがたまに怖くもなる。
 それでも僕たちはいいよ。「あの人は大変だから」「僕たちは一生懸命やっている」とかスタッフ同士で言い合って慰め合えば気が楽になる。
 そしてその感覚は"普通"に変わり麻痺していく。

 介護はサービス業なのだ。
「何かをやってあげてもやらなくても給料一緒じゃん」「何かやろうと思ったらシフト調整大変じゃん」って人がうちの会社にいたらすぐに辞めてほしい。
 その発想にホスピタリティの欠片はなく、はっきり言ってサービス業に向いてない。

 

 

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