見出し画像

【イベントレポート】コロナ時代に求められる飲食店のあり方とは?

世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。全国の緊急事態宣言が解除され、落ち着きを取り戻しつつありますが、第2波の不安と隣り合わせな状況が続いています。

このような背景のなかで、2020年5月26日に、飲食店の参加費が無料のチャリティー&オンラインイベント『今この状況で生まれた新たな飲食店の形とはーサブスク×デリバリー×焼き芋ー』が開催されました。

スクリーンショット 2020-06-07 10.50.21

ゲストとして3名の飲食店店主が登壇。

焼き芋屋×かき氷屋を営む「移動する竹村商店」の竹村 知紘さん。日替わりカフェバー「週間マガリ」の管理人・小西 亮さん。雀荘・居酒屋・カフェを運営する「株式会社友添商店」の代表・友添 敏之さんです。

コロナウイルス拡大後に取り組んだ対応策、飲食店のあり方、今後の可能性について学びと意見を交わしました。今回、当日の内容をレポート記事でお届けします。飲食店に関係する方はもちろん、これからの時代に必要なヒントを掴みたい方もぜひ読んでみてください。

飲食店さんに学びと交流の場を届けたい

今回のイベントが始まったきっかけは、大阪にあるコワーキングスペース『OBPアカデミア』と『The DECK』によるコラボレーション。メインファシリテーターにコミュニティデザイナーの丸毛 幸太郎さんを迎えて動き出しました。

スクリーンショット 2020-06-06 21.32.51

崔 禎秀
コワーキングスペース「OBPアカデミア」学びの場づくり責任者。在日コリアン3世として生まれた、生粋の大阪っ子。 大学卒業後3度の転職を重ね、現在は大阪・京橋にあるOBPアカデミアに勤務。年に約1000回ほど開催する講座・イベントの場づくり責任者を務める。

スクリーンショット 2020-06-06 21.30.21

向井 布弥
大阪・堺筋本町駅直結のコワーキングスペース「The DECK」のコミュニティコーディネーター。2020年2月にコワーキングフォーラム関西2020を開催し、延べ170人を動員。緊急事態宣言期間は毎日さまざまな業界の方とオンラインコラボチャレンジ企画を実施している。

スクリーンショット 2020-06-06 21.33.10

丸毛 幸太郎
NPO法人Co.to.hana コミュニティデザイナー。まちづくり、教育、福祉、など様々な分野で、プロジェクトデザインや伴走支援、ファシリテーション等による「コミュニティの力を活かした社会課題の解決」に取り組む。

当日は飲食店の経営者、業界で勤める方など33名が参加。「飲食業界の近況が知りたい」「集客のヒントがほしい」「これからの新しいモデルを学びたい」「デジタル×飲食が気になります」といった理由で参加された方がいました。

20200526_飲食店応援企画

主催者、ゲスト、参加者が交流しながら学びを得て、つながりを深め、お互いに協力しあう体制をつくる機会。丸毛さんから当日の趣旨が紹介されたあと、ゲスト3名によるトークセッションが始まりました。

コロナ拡大後に取り組んだことは?

丸毛:本日は宜しくお願いします!まずは自己紹介とコロナウイルスが拡大してから取り組んだことについて教えてください。まずは竹村さんからお願いします。

スクリーンショット 2020-06-06 21.36.39

竹村 知紘
1991年滋賀県出身 。「移動する竹村商店」として夏はかき氷屋さん、冬はやきいも屋さんという季節で職業を変えるスタイルで京都市内を中心に小商いを行う。 複業でクラウドファンディングサイト、キャンプファイヤーのキュレーターとして困っている人のサポートもしている。

竹村:はじめまして!『移動する竹村商店』の竹村 知紘です。冬は焼き芋屋、夏はかき氷屋を営んでいます。コロナが発生する前までは京都市内を中心に焼き芋の流し売りをしていましたが、拡大が本格化し始めた3月末頃には中止。4月に入って急いで立ち上げたのがECサイトです。

スクリーンショット 2020-06-06 11.41.06

竹村:ECサイトについては、おかげさまで全国から注文をいただいています。一方でかき氷屋は厳しいですね。今年は夏祭りが相次いで中止になっているので。でも、ピンチをチャンスと捉えて。秋ごろの活動に向けて、しっかり準備を整えていこうと思っています。

丸毛:続いては、小西さんお願いします。

スクリーンショット 2020-06-06 21.35.01

小西 亮
大阪・1000人の日替わりカフェバー「週間マガリ」管理人。ほかに、シェアハウスなども運営。自粛休業中の売上270円の大ピンチ。次なる手は! 現在、サブスクリプションLIVE配信を使っての飲食店営業ができないかを実験中。また、オンラインと実店舗を掛け合わせる可能性についてもみなさんと話し合いたいです。

小西:大阪の天神橋筋商店街でCAFE&BAR『週間マガリ』の管理人をしている小西 亮です!コロナ感染防止のために注意喚起されていた「密閉・密集・密接」に当てはまるので、3月後半から自粛休業中でして。4月の売上が270円と大ピンチです(笑)このままではヤバい!ということで、始めたのがライブ配信とクラウドファンディングです。

スクリーンショット 2020-06-06 11.35.50

小西:ライブ配信では、日替わり店長をゲストに呼んで、僕とのトークセッションを公開しています。また、週間マガリの存亡をかけてクラウドファンディングにもチャレンジしました。竹村さんにご支援もあって、なんと150万円以上の支援額をいただいています!(6月21日に募集終了)

丸毛:それでは最後に友添さんお願いします!

スクリーンショット 2020-06-06 21.44.25

友添 敏之
1978年5月11日生まれ。神奈川県出身。「京都をおもろくする」株式会社友添商店 代表取締役社長をしつつ、最高位戦日本プロ麻雀協会所属の麻雀プロとしても活躍。 マールカフェ居酒屋ここでのめ麻雀Pottiを経営。 立命館大学進学と共に関西にやってきて京都に魅了される。

友添:はじめまして、友添 敏之です。麻雀プロとして活動しながら、『株式会社友添商店』の代表として京都の河原町、木屋町、河原町五条で店舗を運営しています。コロナ前は1日に居酒屋で50人、カフェで140人くらいのお客さんに利用してもらっていました。

スクリーンショット 2020-06-06 11.43.06

友添:3月初旬はさほど影響がなかったのですが、3月末頃からぱったり客足が途絶えてしまって。高を括っていたぶん、対応が遅れてしまって。4月に入ってからテイクアウトとデリバリーを順にはじめました。ただ、客単価が低いので、売上を補填するのは難しいなと感じています。

テイクアウト&デリバリーはおすすめしない?

竹村:参加者の皆さんにお聞きしたいのですが、テイクアウトやデリバリーを導入されている方ってどれくらいいますか?

丸毛:(zoomの反応ボタンを見て)・・・3人くらいですね。たくさんの方が取り組まれている印象でしたが、このなかでは取り組んでいる人は少ないんですね。

友添:テイクアウトとデリバリーは、あまりおすすめしないですね。実際に取り組んでみて、メリットよりもデメリットのほうが多いと感じました。

<メリット>
自分たちで宅配していたので、直接お客様に御礼を伝えられる。顔と顔のつながりをつくれた。
<デメリット>
・容器の費用が高い。
・美味しく届けるのが難しい。
・慣れていないと、宅配までに時間がかかる。
・慣れていないと、宅配中に料理がこぼれる。
・単価が安くなるので利益につながらない。
・デリバリー要員の人件費がかかる。

友添:テイクアウトとデリバリーを始めたときは、新しいお客さんからの注文もありました。でも、長続きはしなかったですね。継続的に注文してくれるのは常連のお客さんでした。最後に助けてくれるのは、顔を知ってくれている顧客様なんだなと実感しています。

竹村:自宅で料理をする人やお弁当屋さんで購入する人も多くなるでしょうね。僕もテイクアウトとデリバリーはこれから難しくなっていくんじゃないかなと思っています。

これからの飲食店の可能性・あり方とは?

丸毛:今後、コロナウイルスが世の中に影響を与え続けていくなかで、どのようなアクションをとっていくべきだと考えていますか?

スクリーンショット 2020-06-06 23.38.59

竹村:コロナウイルスに対応するためにいろんなプロジェクトが立ち上がりましたが、商店街の店舗や近場の飲食店と協力して共通の通貨をつくることは安定感があると思います。お互いの常連客をシェアすることで店舗存続をはかる方法。今だからこそ、地域内の絆が大切にすべきですね。

小西:今後、以前のような大人数での飲み会も減るでしょうし、ライブ配信の人気も薄れていくと思います。だからこそ、オフラインを押し切るのではなく、オンラインだけに頼るわけでもなく、両方のいいところを見出して実践していくことが大事だと思いますね。

丸毛:小西さんはサブスクリプションも始めるんですよね。

小西:そうですね。新業態としてサブスクリプション(CAMPFIREコミュニティ)の『どこでもマガリ』の立ち上げを進めています。「ライブ配信の参加権」や「実店舗の利用回数券」などをパッケージ化して提供する月額制サービス。今後、コロナウイルスやその他の災害があっても、健全に運営を続けられる状態を確立させたいと思っています。

スクリーンショット 2020-06-06 23.04.37

丸毛:最後に、登壇者の皆さんから参加者へのメッセージをお願いします。

竹村:飲食業界だけでなく、クリエイターの人たちもコロナの影響を受けています。業界を飛び越えて、身の回りで困っている人とつながりながら、小さな経済を回していきましょう!

小西:お店の規模や業態によって適切な作戦は違うと思います。どんなに有名な老舗でも、クラウドファンディングに失敗している事例はたくさんある。正解がないからこそ、自分のお店に合うようにカスタマイズすることが大事だなと思います。

友添:僕の考えはけっこうシンプルで。自分のストロングポイントを追求するしかないと思っています。僕の場合はそれがお客様とのつながりなんですね。顔の見える人たちとのつながりを大事にしたい。その思いがより強くなっています。今回のイベントに関わった人たち、参加してくれた方々とも、またどこかでお会いできたら嬉しいです。

約束の地で、再開を願って

スクリーンショット 2020-06-06 21.57.45

トークセッションが終わったあとは、参加者を交えての交流会。飲食店を営んでいる人、飲食業会に関係したお仕事をされている人など、イベントに参加した人たちの感想が交わされました。以下、一部をご紹介します。

それぞれの意見や工夫に個性が現れていておもしろかったです。それでも、中心に据えているのはお客さんとのつながり。結局は人なんだなと思いました。
三者三様で考えていることや見据えていることが違って素晴らしいなと思いました。オンラインとオフラインの合わせ技はめっちゃおもしろいなと。自分のお店にも取り入れてみようと思います。
飲食店の定義や価値って、それぞれ違いますよね。雰囲気を楽しむことなのか、美味しい料理を食べることなのか。どこに目的を置くかによって取り組むべきことも変わるんだなと痛感しました。

最後に、運営者からの感想メッセージもご紹介します。

向井(The DECK):また会いたい。そう思える人との出会いが生まれたことがとても嬉しいです。再開の地はリアルの場にもオンラインの場にも用意されています。ゲスト3名が運営するお店はもちろん、コワーキングスペースで再びお会いできるのを楽しみにしています!
崔(OBPアカデミア):OBPアカデミアではたくさんの講座やイベントを開催しています。そこで感じているのは、飲食に長年携わってきたからこそ提供できる経験や価値があるはずだということ。誰でも講師として講座を持てる機会をつくっています。伴走しますので、一緒に形にしていきましょう。
丸毛(NPO法人Co.to.hana):イベントのなかで印象的だったのは、ゲストの3名が現状を受け止めた上で学んでいるなということ。学んでいるからこそ、新しいことに挑戦したり、自分の方向性を大切にしたり、それぞれの選択肢が生まれる。どの道を選ぶかによって、お店や人の生き方・理念が現れるんだなって感じました。

今回のイベントは、飲食店向けのチャリティー企画として開催されました。飲食店の経営者や運営関係者は参加費無料。一般の方から集めた参加費は、次回のイベントや企画・運営費に活用される予定です。

現在、日本国内では緊急事態宣言が解除されました。でも、未だに不安と隣合わせの日々が続いています。未来の予測が難しい時代。だからこそ、学ぶことや挑戦してみることが求められるのではないでしょうか。今回のイベント&レポートが、みなさんの明日を考えるきっかけになれることを願っています。

登壇者&運営者の情報まとめ

竹村 知紘さん|移動する竹村商店
ECサイト:https://takeyakiimo.thebase.in/
SNS:https://twitter.com/take_yakiimo
小西 亮さん|週間マガリ
クラウドファンディング:どこでもマガリサブスク会員募集中!
SNS:https://www.facebook.com/shukan.magari/
友添 敏之さん|株式会社友添商店
マールカフェ:http://www.marcafe.jp/
居酒屋ここでのめ:https://twitter.com/kokodenome?s=20
麻雀Potti:http://potti.o.oo7.jp/
SNS:https://twitter.com/pottikyoto
OBPアカデミア
フリーランスの仕事場、リモートワーク、自習、交流、講座、読書などの様々な目的で利用されており、来館者は年間約5万人。また、年間1000回以上のセミナー・イベントが開催されています。
https://obp-ac.osaka/index.html
みんなのバーチャルコワーキングジャパン(みんコワ)
The DECKの向井さんがアンバサダーを務めるオンライン企画。日本全国のコワーキングスペース合同運営をしているバーチャルスペース。24時間開放されており、どなたでも無料でオンライントークを楽しめます!
https://thedeck.jp/
https://m.facebook.com/thedeck.jp/
https://zawazawa.jp/coworking/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?