hidetaka_yamasaki

ドイツのハンブルクに住んでいる書体(フォント)デザイナーです。仕事のあれこれや当地の書…

hidetaka_yamasaki

ドイツのハンブルクに住んでいる書体(フォント)デザイナーです。仕事のあれこれや当地の書体・タイポグラフィについて、考えたことを書いてます。自己紹介 👉 https://note.com/hide_type/n/n1f32528fcf23

最近の記事

同じ値かどうか

錯視によって太く見えたりずれて見えたりするのを、太さや角度といった「数値を信じずに」いかに調整するかが書体デザイナーの腕の見せ所だということを、日本語でたくさん読んでそういうものかと思っていた僕は、ドイツで書体デザイナーとして働きはじめて困難に直面した。ドイツ人の同僚や上司たちは「数値が揃っていないこと」を気にする人々だったのだ。そしてそのあと、たくさんのドイツ人(と少しの他の欧米の人)と仕事をする中で学んだのは、錯視調整は最小限にしてなるべく数値を揃えて描いているほうが、仕

    • 書体デザインへのフィードバック

      書体デザインの大学院に在籍する学生の典型的な悩みは「どの先生のどのフィードバックに従えばいいの?」かもしれない。どの院にも書体デザイナーの教員が複数いて、彼らの添削をもとに技術を磨いていくのだけれど、各々言うことがバラバラで、時にはまったく正反対の意見が出てくるので、生徒は混乱する。 大学院生の僕がギリシャ人の先生にこのことを相談したとき、先生の助言は「自分の芯をつくりなさい」だった。それは僕にとっては、多様な気質の人たちがあまり溶け合わずに混在するヨーロッパで生きてゆくた

      • 書体デザインにおいて何が重要か?

        ベルリンで開かれた「2019年書体デザイン修士課程修了生作品展示会」に行きました。ここ数年は毎年開かれています。2日間にわたってベルリン芸術大学の一角にアミアン(フランス)・ハーグ(オランダ)・ローザンヌ(スイス)・ナンシー(フランス)・レディング(イギリス)・パリ(フランス)の各校卒業生の作品ポスターが展示され、このタイミングでベルリンに来られる卒業生は希望すれば講演もできるというもの。何作品か写真を撮ってきました。 このように多様な作品が並ぶのが恒例です。むしろデザイン

        • 自己紹介、このnoteについて

          ドイツのハンブルクに住んでいる書体(フォント)デザイナーです。ドイツや周辺諸国の書体、タイポグラフィ、デザイン事情やその他いろいろなことについて書きます。事実・史実の紹介より、僕が仕事や日常で考えていること、結論の出ない問題を扱う投稿が多くなるかもしれません。ある記事で何か断言しても、次の記事では撤回してるかも…… ともあれ、どうぞよろしくお願い致します。あ、書いていることは所属組織の見解とは無関係です。 経歴: 1993年大阪府高槻市の生まれ。京都の同志社中学校・高等学

        同じ値かどうか

          ドイツの typografisch な場所

          ドイツ国内にあるタイポグラフィ・書体デザインに関係したスポットのまとめです。2020年5月13日修正。 ハンブルク Hamburg● ブーフ・ドゥルック・クーンスト BuchDruckKunst ● 本・ブックデザイン・印刷術の博物館。工房もあり。 ブレーメン Bremen● シュタイントーア・プレッセ Steintor-Presse ● レタープレス設備のある印刷屋。 ニーンブルク/ヴェーザー Nienburg/Weser● ムゼーウムスドゥルッカライ・ホヤ Muse

          ドイツの typografisch な場所