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子どもたちにもう1人保育士を!に賛同。そして養成校教員としてのジレンマ

「子どもたちにもう1人保育士を!」の運動に心から賛同します。

保育士配置基準の見直しは急務

保育士の配置基準は「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に明記されています(私の授業をとってるあなた!テストに出ます笑)。他国に比べてあまりにも保育士の負担が大きいのです。ですから、保育士配置基準を早急に見直し、保育士1人あたりの子どもの数をできるだけ少なくすることが急務なのは明らかです。
これは「異次元の少子化対策」でもなんでもなく、あたりまえのことであって、ちょっと言葉は乱暴ですが、つべこべいう次元ではありません。「早急に」「必ず」「今国会で」見直しが図られるように望みます。

「子どもたちの憧れ」を現実に!

さて、大学入試シーズンに入りました。この時期から行われる試験は主に「一般入試」と呼ばれる筆記試験がメインの試験になりますが、例年秋頃行われるのは総合型選抜や推薦等の入試で、多くの大学・短大は面接を課すと思います。私の勤務校でも面接がありますし、試験の前に行われるオープンキャンパスで高校生の話を聞く機会が少なくありません。
保育士を志望する高校生はなぜ、保育士を目指すようになったのでしょうか?
すると①自身の保育園(幼稚園)の先生に憧れた②子どもが好き③中・高の職業体験がきっかけで…と多くの高校生が答えてくれます。特に③を理由とする高校生が多い印象を(主観ですが)受けるのです。
保育園や幼稚園の子どもたちは中高生の「おにいさん」「おねえさん」が大好きです。でも受け入れる園は色々と大変なこともあると思います。しかし、その現場での経験が将来の決め手になっている、ということをぜひ現場の先生にお伝えしたいと思います。
しかし、です。今、保育士養成校は減っていますし、志願者減も深刻であることはあまり知られていません。
きっと、職業体験の憧れが、「何か」の要因で高校生の進路変更につながっているのではないかと思うのです。
その一つが、過酷な現場の様子を知ることや、待遇・給与面の不安だとすれば、大人の一員として本当に申し訳ない思いにもなります。
逆に言うと…保育士の職場環境や待遇が改善され、且つ、専門職としての社会の認識が向上すれば、職業体験の憧れを進路に結びつけることができるのではないか、と思ったりするのであります。

十分な数(と質)の保育士を輩出できないというジレンマ


残念ながら保育士・保育所に関する報道はネガティブな印象を持つものが少なくありません。また、我々養成校も保育士の魅力を伝えきれていないことには反省もあります。
ですが、「保育」という仕事はAIに代わることができない尊い仕事であり、魅力いっぱいの仕事です。
今、「子どもたちにもう1人保育士を」と願いつつも、十分な人数を輩出できないジレンマを痛烈に感じています。
どうすれば保育士への憧れを、躊躇いなく実現してもらえるのか…。
まずは目の前にある保育をめぐる課題を一つひとつ解決していくことが大切です。
配置基準、待遇の改善、そして保育士の「働き方改革」。
私にできることは少ないですが、ぜひ「子どもたちにもう1人保育士を!」の叫びが届いてほしいと願います。



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