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たまにはビジネス書はいかがですか?

保育者に贈るこの1冊。今日はビジネス書です。
保育者のみなさんも、たまには保育専門書を離れて、ビジネス書を紐解くと、業務改善のヒントが得られるかもしれませんね。

「頭のいい人が話す前に考えていること」(安達裕哉)/ダイヤモンド社


私はいわゆる「ビジネスパーソン」ではありません。でも、ビジネス書から得られる知識は社会人としてとても役に立ちます。保育や福祉の仕事も「ビジネス」という観点からは少し離れているような職種ですが、会議や研修などでは、やはりビジネスライクな思考は大事だと思うのです。

「コミュニケーションの主体は自分ではなく、相手にあります」

”自分の企画が通らない””言いたいことが伝わらない”と思っている人ほど、この視点が欠けている、と著者は言います。
本書で「頭のいい人」とは、「頭の良さは他者が決める、頭のいい人というのは、自己満足ではまく、まわりの人から”頭のいい人”と認識されている人」としています。その理由は本文に書いてあるわけですが、すべてにおいて合点、納得のいくものでした。

言葉に敏感たれ

本書は「言葉」の大切さを随所で触れています。言葉の成り立ち、根拠、選択は他者が「頭の良し悪し」を判断する材料になるのだと理解しました。特に印象に残ったのは「コミュニケーションコストを意識せよ」という言葉。”とりあえず電話しよう””とりあえず相談しよう”は”言語化する”というコミュニケーションのおける大きなコストを、目の前の作業を中断して、相手のために支払わないといけない、つまり、相手にコストを支払わせていることになるというのです。私はそこまで考えたことがなかったのですが、大いに共感するものがあります。例えば、メールで相手に何かをお願いする場合、趣旨やお願いしたいこと、期限等とその根拠を一度整理して言語化し、相手に伝わるように(自分が)一旦、言語化して事象を整理します。なるほど、この作業をしないで「とりあえず〜」と行動することは着払いで手紙を送りつけるようなものなのだなぁ、と理解しました。

だれでも結論から話せるように

これは本当に大事なことですよね。我々はビジネス集団ではありませんから、会議の長さが「コスト」であることに気がついていない場合が多いです。ですから、長々説明を聞いた後に、「…で、結論は?」「着地はなんでした?」ってことがしばしばです。保育現場でも往々にしてあるのではないでしょうか。これは結論から言うことで解決することが多いのでしょう。根拠のない持論を延々披瀝(ひれき=心の中の考えをつつみかくさず、打ち明けること。)されることほど迷惑なものはありません。相手を思えばこそ、「結論が先」を心がけたいものです。
ただ、これは本書には書いていませんが、結論を先に言うためには、日頃からあらゆる事象について問題意識をもち(といっても、そんなに大袈裟なものではなく、「これでいいのかな?」という視点です)仕事をすることが大事なのでしょう。漫然とやるべきことをやっているだけ、それは「作業」です。私たち職業人は「仕事」をすることで、組織が成長するのだと思います。

「小並感」(こなみかん)

「小並感」とは、「小学生並みの感想」のことだそうです。「きもい」「えもい」「やばい」。映画の感想は「楽しかったです」、ライブどうだった?「やばかったです」。身に覚えがあります…。
言語化能力を高めるためには「ヤバい」「エモい」「スゴい」など、語彙力を貧弱にする安易な表現を使わないようにする」といった習慣が必要と著者は言います。まったく同感。その通りかと。

まとめ

大学で仕事をしていると、やたら横文字が氾濫しており、自分自身も講義で使っていることも多いのと言う自覚があるのですが、著者は「意味をちゃんと理解せず横文字ばかり使うのは『賢いふり』の典型」とばっさり。本当に反省させられました。本書は終始「相手の立場に立つ」ことによって、他者から「頭のいい人」と評価されるという立場に立っています。
非常に読みやすい文体で書かれているので、あっという間に読むことができます。ちょっと視点を変えて保育を考えるのもたまにはいいかもしれませんね。




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