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業務分担等分の原則=ホールケーキ仲良く分けっこの原則

新年度を控え、そろそろ保育園、幼稚園では新年度の役割分担が決まったころではないでしょうか?
この時期、どんな組織でも生じるのが「不公平感」という軋轢。この軋轢が1年間尾を引くこともあるかもしれず、現場の管理者の方は神経を尖らせるかもしれませんね。
今日は組織の業務分担について考えてみたいと思います。

業務分担に不満が出た時に管理者がとる手段の3類型

業務分担が発表されると大概の組織では大小様々な不満が出るもの。その時に管理者がその不満を解消するためにとる手段として以下3つが上げられます。

①業務の大切さ、期待を丁寧に説明し理解を得る。
②じゃあ代わり誰にしようかなぁ?と代理を探す。
③では私が、と自分で引き受ける。

望ましいのは当然①です。しかし、毅然と①を選択するためには後述する業務分担等分の原則(筆者が勝手に名付けました)を事前に十分に考慮する必要があります。
②は最悪の選択です。
これも後述しますが、園でしなければならない仕事の総量は決まっているわけです。ですから、だれかが「いや」とゴネるならば、誰かが犠牲にならなければならないのです。これが組織の崩壊を招く最大の要因です。
③もダメです。
園長先生などの管理者には、管理者としての責任があるのです。そして何より全体を俯瞰し、常に業務が等分になっているのか評価する仕事があるのです。ですから管理者が①を怠り、「では、私が」という選択をするのは一見美しい自己犠牲に見えますが、望ましいとは思えません。

業務を等分にするために配慮すべきこと

では、どうすれば業務を等分にできるでしょうか。下の図を見てください。

業務を等分にするとは、上図のようにホールケーキを人数分、仲良く分け合うということです。
しかし、単に同じ角度で切り分けるのではありません。
考慮すべきは…
①経験
経験年数によって当然業務負担感は違います。ただ、「私、新人なんで…」といつまでも甘えられる環境を作るのではなく、一定の伸び代を考慮すべきだと思います。特に若手の場合はほんの少し(あくまで少しです)負荷をかけなければ成長しませんので、その点への配慮も必要でしょう。
②役職者の責任
正規・非正規の違いはもちろん考慮の対象ですが、役職者(園長・主任など)の責任とプレッシャーは相当なものです。役職者が疲弊するとパワハラの温床になったり、部下の話を十分に聞いてあげられなかったりします。役職者には役職者の責任があるのですから、その責任をしっかり果たせるように調整すべきです。
③期待値
その業務を任せることにより、どのように成長してほしいのか、その期待は過度ではないか(過小ではないか)をしっかり話し合い、伝えることが大事です。もちろん失敗はしっかりフォローすることを約束しなければなりません。だから上②のように「役職者の責任」を考慮することが大事なのです。
④考慮すべき家庭事情
ここに「考慮すべき」と書いたのは、過剰に家庭事情を考慮すると摩擦を生む原因になるからです。しかし、考慮しなければならないこともあります。子どもが小さかったり、家族を介護していたりする場合は当然配慮が必要です。ですが、祖父母など周囲の支援が十分であると判断される場合は配慮の程度も薄くなるはずですし、「家が遠いので」という希薄な理由の場合は「私も遠いわ!」と不満が爆発してしまう可能性も否定できません。事前に十分なコミュニケーションが必要で、組織の合意のもとで考慮するのが理想です。


以上を十分に考慮にいれたうえで業務分担を決め、ホールケーキを仲良く分けっこするように、綺麗な円形ができれば組織の構築は大成功です。

とは言っても「それがなかなか難しい」と思われる人も多いでしょう。
実際私もケーキの角度が大きくなりがちで、お腹いっぱいな業務をしている自覚はあります…。
でも、対人援助専門職(教員も含みますが)は組織の健全性が担保されないとどんどん離職者を生み、組織は破綻します。
組織の歪みは児童、生徒、学生に皺寄せが行きます。
私も健全な組織づくりについて今後も検討していきますので、全ての先生がイキイキと仕事ができる社会を共に築いていきましょう。


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