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逃避の散歩 75.朝の豊洲から日本橋まで

いま、陽が昇る豊洲ぐるり公園の西端、バーベキュー広場の近くにいる。なぜこんなところにいるのか。日本橋へ映画を観に行く前の時間潰しだ。観たい作品の上映時間が朝一番の一回だけなので、仕方なく。

本来、早朝のここにいる必要はないが、単純に間に合う時間の電車だと通勤ラッシュに巻き込まれるので、死ぬほど嫌いな混雑電車に乗りたくない。ならばいっそのこと寝ずに始発で豊洲市場に行き、早い朝食を済ませてから行こうと考えた。

そして、朝食を済ませて久しぶりにこの公園に寄り、過去に2度(352回)歩いたレインボーブリッジを眺めている。ここから左右を見回せば、芝浦ふ頭、お台場と複数のゴジラが上陸した場所が見える。

さて、ロッキーのテーマに乗って走る……わけがない。上映館であるTOHOシネマズ日本橋が開場する時間まで少なくともあと1時間半位は時間潰しをしたいので、土地勘を頼りにのんびりと歩こう。まずは、この公園北側の歩道を歩いて水上バスの豊洲船着場のある方へ向かう。

4分経過、対岸に晴海ふ頭が見える。2020年に強行されたオリンピックという税金の無駄遣いのために施設を建てられ、そこを改装したマンションが立ち並んでいるが、かつてはビッグサイトが完成する前までの国際展示場だった東京国際見本市会場があった場所だ。

端にある、2022年2月に閉館した晴海客船ターミナルのあたりは様々な映像作品のロケ地としても知られている。

陽は昇っているが、まだ公園灯がともっている。じきに消えるだろうが、実に夜明けらしい風景だ。13分経過したところで豊洲大橋の下をくぐり、19分経過したところで晴海大橋に差しかかる。

豊洲大橋は初夏、港から風が吹いて心地よく渡れる。この橋を渡る環状2号線は築地市場跡の新大橋通りと合流するまでの直線は朝の通勤時間帯以外は人通りが非常に少なくて歩きやすい。だが、真夏の昼間は日光を遮る場所が少ないので熱射病にならないように対策が必要だ。

晴海大橋も開通するまでは、晴海三丁目交差点から春海橋を経由して迂回するようにこちら側に来ていたんだよなと、東京国際見本市会場で催される見本市の一般日に行っていた頃の記憶がよみがえる。

晴海大橋の下をくぐり抜けたその先に豊洲船着場の橋が見えてくる。このまま突き当りの豊洲公園前まで進み、左折して春海橋公園に入っていく。

この公園はその名の通り、さっき話した春海橋の近くにある。「公園」と付いてはいるが、春海橋公園は何か遊具があるわけでもなく、ぐるり公園の遊歩道が延長されたような感じのものだ。その途中に豊洲船着場はある。

29分経過、豊洲船着場に差しかかる。後ろの商業施設の更に後ろに本社がある石川島播磨重工業の東京工場跡地にできた場所だ。跳ね橋のそばにある造船用のクレーンは、かつてここが造船場ドックだったことを示すためのオブジェだ。

手前にある跳ね橋を渡って公園の遊歩道を更に北側へ進んで春海橋のある方向へ。その手前にある晴海橋梁(旧晴海鉄道橋)で何かの工事をしているようだ。

さらに橋へ近づくとその案内があり、それによると耐震補強工事をしたうえで遊歩道として再整備すると書かれている。

確か前に工事前の状態を撮っていたはずだが、この風景もいましか撮れないので、改めて何枚か撮りつつ春海橋を渡り、春海橋西交差点を右に入る。そして朝潮運河を渡す朝潮大橋を渡る。途中、右側に佃水門を見ながら清澄通りに合流する。

44分経過、清澄通りと合流する初見橋交差点に着く。このまま進むと最大2回の信号待ちをしなければならない。今回はそれを回避する方法を取る。

交差点のそばにある地下鉄月島駅3番口から地下に下り、下りたら左折して直進し、改札口の前を通過して少し階段を上った奥の踊り場右側にある6番口から地上へ。ちなみに、同じ踊り場の左側にある7番口は以前やった鉄道駅ラリー(55回)で通過している。

地上に出ると目の前が佃仲通りと合流する交差点になっている。横断歩道を渡って左折して突き当りへ。この突き当りから左側には鉄道駅ラリーのときに渡った佃大橋がある。だが、進むのは逆の右側だ。そして、左右に道が分かれる三角地の公園が見え、その左側にある道を抜けて左折する。

52分経過、釣り船の発着場がある佃堀に架かる佃小橋を渡る。この橋は見た目は古そうに見えるが、架けられたのは1984(昭和59)年と新しい。この橋を越えると佃島だった場所に入る。

隅田川のある東側への道を進み、突き当りで大きな神輿がガラス越しに見える「佃まちかど展示館」の前を右折する。少し進むと左側に住吉小橋の起点があり、そのまま進むと橋の途中で道が突き当り鳥居が見える。そこから階段を上って橋を渡る。

ちなみに、この突き当りの階段を渡らずに右折すると住吉神社がある。

55分経過、橋の先に石川島灯台を模したオブジェが見える。ここからは石川島だった佃公園へと入る。

この公園は石川島造船場(石川島播磨重工の前身)の跡地に作られている。桜が多く植えられていて、春先は花見散歩するにはうってつけだ。隅田川に沿った歩道は隅田川テラスの一部で、対岸に以前歩いた側の隅田川テラスと亀島川水門(20回)が見える。

また、この公園から北側の中央大橋と石川島公園のあたりは、いろんな映像作品でよくロケ地に使われていて、一度でもこのあたりを歩いて風景を覚えていると「またここか」と頭の中でツッコミを入れられるようになる。特に中央大橋が特徴的な形状なのでわかりやすい。

1時間経過、下をくぐって石川島公園側に回り込んでから中央大橋を渡り対岸の新川公園(隅田川テラスの一部)に入り、永代橋方面へ進む。

1時間8分経過したところで永代橋の下をくぐり、階段を上って永代通りに出たら最初の角を右へ。そして1時間10分、以前通った日本橋川(58回)の河口にある豊海橋を渡って左折すると右側に「日本銀行創業の地」の記念碑が見える。

これは日本橋川を歩いた時に、この先の湊橋の前で見た看板に書かれていたパワースポットとされる所のひとつだ。そこからさらに少し進んで最初の角を折れるともうひとつのパワースポット、遊女の高尾太夫を祀った「高尾稲荷社」がある。

以前にも言っているが、自分はパワースポットをまるで信じていない。観光客寄せの方便だと思っているからだ。この辺りは何度も歩いているけれど、それで運が舞い込んだとか肩こりが治ったなんてことは一度もない。「鰯の頭も信心から」だ。

このままIBM箱崎ビルの外周に沿って箱崎公園がある角を左折。この辺りからはビル街になるので、出勤中の会社員の姿が少しずつ増え始める。そして、ここからひたすら北側へ直進する。

1時間15分経過したところで首都高速6号線の下を通過し、1時間18分経過したところで新大橋通りに出て、水天宮前交差点から東へ2つ目の横断歩道を渡って通過する。

さらに真っ直ぐ進んでいくと、制服を着た通学中の児童の姿を目にする。「そういえば、近くに小学校があったような……」と思っていたら、信号を1つ越えたところで中央区立日本橋小学校の前に出てしまい、児童の通学の邪魔にならないよう急ぎ気味に通過する。

1時間22分経過、地下鉄人形町駅の東側に出る。ここから2つ先が日本橋川を歩いた時にも通った小舟町交差点だ。ここから道なりに東へ歩くと江戸橋北交差点と日本橋北詰交差点へ行ける。人通りが増えるが、ひとまず日本橋北詰交差点まで行こう。

目的地の場所が日本橋の近くなので仕方ないが、この先から人通りを避けることは難しい。途中で人通りの少ない道に入っても、先へ進むためには大きな交差点に出なければならないからだ。

念のため改めて言うと、今回のルートはわざと遠回りをした。最短距離のルートを取れば10~15分ほど縮まる。ただし、人通りが多い地帯を余計に歩かなければならないので注意が必要だ。

一番簡単なルートの例を挙げておくと、豊洲市場からゆりかもめの軌道に沿って豊洲駅方面に歩き、晴海大橋南詰交差点を左折して晴海大橋を渡る。そして晴海通りに入って真っ直ぐ歩き、銀座四丁目交差点まで行ったら右折して中央通りを直進するだけだ。

江戸橋北交差点を越えて1時間28分、日本橋北詰交差点に到着。

記憶が正しければ、今回で4回目の登場だと思う。あと2分ほど歩けばTOHOシネマズ日本橋のあるコレド室町2に着くので、それでちょうど目標の1時間半となり、うまく時間調整ができた。

さあ、映画を観に行くぞ。