臨床家のための腰痛マネジメント

カイロプラクターにとって永遠の課題である腰痛治療。
駆け出しのカイロプラクターは関節アジャスメント練習で仙腸関節のアジャスメントを行い、真っ先に習得するアジャスメントであることからなんとなく腰痛治療を得意分野と自分の脳に印象付けているカイロプラクターが多いことだろう。

しかし実際の臨床での腰痛症状は複雑多岐にわたり、その都度的確な判断と治療方法の選択が迫られる非常に難しい症状の一つである。
教科書通りの治療では症状が良くならず、混乱し、挫折してしまう治療家も少なくない。

今回の記事は、慢性腰痛、アスリート、妊娠中の腰痛など様々なケースの腰痛に関する情報をまとめてみたい。
何度も情報を入れ替えて整理することは治療成績の向上に役立つだろう。

・骨盤アライメントと股関節の関係

腰痛は一生のうちに一度は国民の大多数が体験し、急性腰痛症患者の1年後追跡調査では65%が少なくとも1回は再発を経験する。
診断で最も多い「非特異的腰痛」のリスクには、年齢、性別、筋力、柔軟性、体格、体重など様々な要因が影響する。
また、様々な危険因子の中でも、体幹-筋機能、股関節-筋力、体幹と下肢可動域、骨盤アライメントは腰痛に大きく影響する。
個別の筋肉では、腹筋、傍脊柱筋群、多裂筋の筋力低下を指摘する研究が多い。
加えて、股関節筋群の筋力低下も身体活動時のバランスや姿勢制御に悪影響を及ぼし、腰痛リスクファクターとして作用する。

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