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絵本ナビ創業20周年(日本の絵本児童書市場はどう推移したのか)

10月25日は絵本ナビの創業記念日で、今年(2021年)で20周年を迎えました。

移り変わりの激しいインターネットの世界で、会社としてひとつの節目を迎えられたことを皆様に感謝いたします。(絵本ナビのサイトオープンは4月ですので、来年4月に改めて20周年記念の各種webイベントを開催予定です)

サイト・サービスの利用者数も売上も着々と伸び続けていて、さらに新たなステージに進んでいっています。年間利用者数が約2,000万人までになり、「絵本ナビ使ってます!」と声をかけていただくことが格段に増えました。

絵本選びや子育てのインフラとして定着してきていることを実感します。

絵本ナビは「畑を耕し続けている」

絵本ナビがやってきたことをひとことで言うと、絵本児童書の領域で「畑を耕し続けている」ということです。

創業ストーリーでも書きましたが)私が一人の新米パパとして絵本を求めたとき、「どれを買ってよいかわからなかった」ことが、絵本ナビをはじめた課題意識でした。

当時、出版社から「絵本が売れなくなってきている」といった声が出ていましたが、一方でこちらではひとりの新米パパがお金を握りしめながらも何を買ってよいかがわからなかった、という原体験がありました。

売れているのは親が子どもの頃に読んでもらったロングセラー作品が中心で、知名度は低いけれども面白い素晴らしい作品や新しい作品は、「知らない」というだけでなかなか売れない、という課題がみてとれました。

絵本児童書の世界には、求める読者に適切な絵本をつなぐ「つなぎ手」が必要だ、と確信しました。昔も今も、書店員、司書、先生や保育士、読み聞かせ活動者など、多くの方がこの「つなぎ手」として、絵本の価値や面白さや伝えて、読者を育てています。
いわば、絵本児童書の畑を耕して、よい作物が育つようにしているわけです。

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絵本ナビも、絵本というものに興味関心を持ってもらい、価値や面白さを伝え、適切な作品をお届けすることを、ずっとずっと続けています。

経済合理性だけで言えば、「育った作物を刈り取る」ことに集中するのが一番でしょう。しかしそれでは、短期的にはよくても、中長期的には畑は痩せ、市場が縮小していってしまいます。

プロの作家と編集者が渾身の力で生みだして出版社が経済的リスクを負って出版した作品には、必ず届けるべき読者がいる、という考えのもと、つなぎ手の視点で作品の魅力を紹介し、試し読みをはじめとする購入判断に必要な情報を整備し、在庫を揃えてすぐに配送できるようにしてきました。

日本の絵本児童書市場はどう推移したのか

さて、では日本の絵本児童書市場はどうなっているのでしょうか。

紙の書籍や雑誌は、ご存じのとおり少しずつ販売金額が減ってきているのですが、唯一、児童書ジャンルだけは堅調です。

少子化が進んできているにもかかわらず売れている、というのはすごいことですよね。

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(「ガベージニュース」記事よりグラフ引用)
(本グラフは著者にて未検証。一次情報から検証予定)

絵本児童書が堅調な理由はいろいろあると思います。
その中で、絵本ナビが貢献を果たしていることは間違いないでしょう。

「特に、ここ5年の大きな変化は、「絵本ナビ」をはじめとした絵本情報サイトやテレビなどでの紹介と、個人のSNSでのクチコミが結びつき、急速に売れ行きを伸ばす作品が急増したことだ。短期間で売上を伸ばす新刊の増加は、15年の絵本市場の急拡大にも繋がった。」(出版月報2016年6月号「絵本 好調の背景を探る」)
「中小出版社はデジタルの波に乗る。絵本ナビ(東京・新宿)が昨年2月に始めた絵本の「読み放題」サービスに、瑞雲舎(東京・港)は4作品を提供し売り上げが3倍に伸びた。絵本ナビはママたちが感想を投稿する”絵本業界のクックパッド”。年間1千万人が利用しており、絵本市場の成長を陰で支えている。」(日経MJ 2017年1月11日「出版不況の中、大ヒット続出 絵本革命起きた!」)
「SNS上で話題になり、それをテレビが取り上げて人気を増幅させるという流れのなかで、重要な役割を果たしているのが、絵本が試し読みできる仕掛けだ。絵本ナビには、現在1900作品について、無料で1回に限り全ページを読むことができる「ためしよみ」サービスが設定されている。」(日経トレンディ2017年3月4日号「絵本大ブームの理由」)

次の20年のエコシステムを創るプラットフォームに

絵本児童書市場が堅調とは言っても、日本の絵本作品の素晴らしさ、ポテンシャルからすれば、もっともっと市場が拡大してよいですし、もっともっと素晴らしい作品が生まれてくるようにエコシステムを発展させられたらと私は考えます。

「絵本は紙の本を親の膝の上で読んでもらうのが最高の体験」であると考えていますが、それが全てというわけではありません。
・子どもが出逢う本が大幅に増える
・本好きの割合が大幅に増える
・日本発で世界に作品が拡がっていく
・絵本児童書を起点としたビジネスが拡大し、
著者含め関係者が経済的に潤い発展する
・・・こんな未来にしていきたいと考えています。

そして、ここからの20年でそんな未来を実現できるように、ビジョンに共感していただける皆さんと力を合わせて、絵本児童書のプラットフォームとして絵本ナビを一層発展させていきたいと考えています。

今後とも絵本ナビをどうぞよろしくお願いいたします!

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(絵本ナビオフィスのある新宿住友ビルの風景)



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