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コラム 13 ジョブ理論はやさしさにつながる

マーケティング用語として「ジョブ理論」というものがあります。

ジョブ理論とは、「ある場面で人が成し遂げたいコト」と言われています。

これだけだとよくわかりませんね。
例えば、ある人が通勤途中のコンビニでコーヒーを買ったとします。
そこにある「ジョブ」を言うとすれば「手軽に一息つきたい」です。

「ある場面」というのは、通勤途中ですね。
「成し遂げたいこと」というのは、手軽に一息つくことです。

この「成し遂げたいこと」というのを「やりたいこと」や「やらないといけないこと」そして「やった方が良いこと」などに置き換えても解りやすいかもしれません。

そして、そのジョブの背景には、
 ・自分でコーヒーを作るのは面倒
 ・価格が安い
 ・自分で作るコーヒーより種類が豊富でおいしい
 ・車の中で飲みながら通勤できる

このような「成し遂げたいこと」の理由が多くあります。


ここで、コーヒーを提供している側のコンビニの視点に立って考えてみます。

コーヒーをたくさん買ってほしいコンビニとしては、このジョブを知ることはもちろんなのですが、そのジョブの背景にある様々な理由を理解して、製品を売り出していくことがとても大切です。

「手軽に一息つきたい」というジョブから発生した「コーヒーを飲みたい」というニーズは世の中にたしかにあるのですが、その自然に発生したニーズのみにこたえる形で製品を売り出していては、他に同等の製品が売り出された場合、自分の製品の優位性を保つことが出来ず販売数は落ちてしまいます。

自分の製品を選んで欲しいのであれば、「ジョブ」と「その背景にある理由」をよく理解し、それを解決してあげるための方法を丁寧に考え、製品を作っていくことが大切です。

すこし解りにくい表現になってしまったので、簡単にまとめてみると、「お客さんの求めている理由を、お客さんの立場で理解した上でしっかり考えて作る」ということです。これは、とてもやさしい考え方だと思います。



普段の生活でも

この「ジョブ理論」の考え方は、普段の生活にも必要なことだと思います。

例えば、友人が困っていたら「その問題を解決してあげたい」と思うものでしょう。そんな時に多くの人は、友人に話を聞いて安心させてあげたり、またはその悩みの理由を知った上でアドバイスをしようとします。

その悩みの背景にある理由は場合によって様々なので、問題を解決するのはとても難しいでしょう。しかし、相手の立場に立って親身に話を聞き、時にはアドバイスをすることは、とても自然な行動です。


そして、この時の友人のジョブは 「悩みごとをなくしたい」です。
ジョブの背景は 「悩みの理由」です。

悩みの理由をよく聞いた上で、悩みごとが無くなるようにする行動は、友人を元気づけたいと思う気持ちから起きた自然な行動です。これはまさにジョブ理論を用いた行動と同じものです。

複雑で難しいと感じるジョブ理論も、実はだれもが自然にやっているものなんです。


ニーズを満たそうとしても満足できない

この場合、「悩みごとをなくしたい」というジョブから発生した「穏やかに過ごしたい」というニーズはあります。

しかし、ただ単にそのニーズのみを満たそうとしても、その友人の本心は満足できるものではないでしょう。ジョブの背景にある友人の悩みの理由を全く無視して、穏やかな気持ちになれるような環境を与えられたとしても、とても穏やかにはなれません。もちろん悩みごとは無くなっていません。

ただ問題の解決にはなってはいませんが、親身になってくれた想いを感じ取り、気持ちは落ち着くかもしれませんね。


ニーズのみを満たそうとしても、何も解決しないということは、だれもが普段の生活の中では自然に感じ取って行動しているものです。

そこにニーズがあると感じた時(○○をしたい、問題など)には、そのジョブは何なんだろう?(何を成し遂げたい?)と考え、そしてさらに、そのジョブの背景にはどんな理由があるんだろう?と考えることで、ジョブを成し遂げ、ニーズを満たすことが出来ます。


実はこんな難しく面倒なことをみんなが自然にやっているんです。
普段の生活には、やさしさがいっぱい詰まっています。


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