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コラム 16 うつ病の目的って?「原因論と目的論」

統合失調症、躁うつ病、ADHD(注意欠陥・多動性)、ASD(自閉症スペクトラム)など、精神疾患の名前を聞いたことがある方も多いと思います。

最近仕事の関係上、私の身の回りでこれらの言葉が多くみられるようになりました。聞いたことのある病名や症状であっても、その中身までは全くわからない状態でした。そのため今も勉強を続けています。

精神疾患は複数の症状を同時に持っている場合も多いようです。その中でも多くの方に見られるものとして、「うつ病」がありました。うつ病はほとんどの方が知っている病気だと思います。ただ、知っているとはいっても表面上のことしかわからない場合が多いかもしれません。勉強を始める前の私もそうでした。

私も、うつ病といえば「気分が沈み何事にもやる気がなくなること」というような感じで捉えていました。これは間違いとはいえないのですが、正しい病気の理解という意味での、何が原因で、どのような症状が出て、どのような治療方法があるのかなどは全くわかっていませんでした。

様々な原因や症状があることを難しいながらも調べていると、うつ病の治療法として、よく「休む」という言葉が出てきました。とりあえず休むことが治療の多くを占めているようです。

「休む」ってなに?

休むって何をすることなんでしょうか?いや、何もしないことが休むことになるのでしょうか?

「休みましょう」と言われたとしたら、どうするでしょう?横になって寝ることも休むことになります。温泉につかってのんびりすることなども身体を休めることになりそうです。自分の好きなことをして過ごすことも心を休めることになります。
私の場合海を眺めながら釣りをしたり、野原に寝そべって雲を眺めたり、流れる小川を眺め続けることも気持ちが休まりそうです。

休むことができなかったからこそ病気になってしまったのだから、ただ休むこと、というのは難しいことかもしれません。だからこそ休むことが治療になり大事なことなのでしょう。

原因論と目的論

心理学の考え方として「原因論と目的論」というものがあります。物事の問いに対して、過去を向いている原因論と、今と未来を向いているのが目的論です。この二つのうち解決策にたどり着きやすいのは目的論だと言われています。

例えば、
過去に、走っている時に転んでケガをして痛い思いをした人がいたとして、もう走りたくないと言っていたとします。
原因論では、「走って転んで痛い思いをしたのでもう走りたくない」
目的論では、「走ると転ぶかもしれないのでもう走りたくない」
と、なります。

原因論でいう「走って転んで痛い思いをした」ことは過去のことであり、もう変えることのできないものです。
それに比べて目的論の「走ると転ぶかもしれない」は未来のことで、注意次第では避けることができることです。
転ばないように気を付けて走る。という解決策を出すことができます。

うつ病になった目的は?

うつ病になったことを「問い」として原因論と目的論で考えてみると

原因論では、「仕事の悩み、対人関係でのトラブル」
などがあげられます。
これらの解決は自分のコントロールできる範囲にないものも多く、非常に困難です。

目的論では、「エネルギーを蓄えるため(休むため)」
といえます。しかしこの目的論での考え方は少し理解しにくいかもしれません。

分かりやすいように、身近なケガや病気で例えてみます。

骨折をしてギプスをするのはなぜでしょう?
(原因論)骨が折れたから
(目的論)折れた骨を固定してつなげるため

風邪をひいて寝込んだのはなぜでしょう?
(原因論)風邪をひいて調子が悪いから
(目的論)無理をせず早く風邪を治すため

仕事の悩み、対人関係でのトラブルでうつ病になったのはなぜでしょう?
(原因論)仕事の悩み、対人関係でのトラブル
(目的論)エネルギーを蓄えるため(休むため)

原因論は過去のことであり、自分の力でどうすることもできません。
目的論は今とこれからのことで、自分の未来を良いものにするために行動を選択できます。


うつ病は、脳のエネルギーが少なくなってしまった状態です。エネルギーが少なくなった人がするべきことは何でしょうか?簡単ですよね。エネルギーを蓄えることです。

エネルギーを蓄えるためにすることは、休むことです。

うつ病になった目的はエネルギーを蓄える(休む)ためです。
休んでいなかったあなたに休めと伝えてくれているのです。

うつ病の治療法としての「休む」の意味がよくわからなかった私ですが、目的論で考えることで、すっきりと理解することができました。

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