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ブックカバーをしない風景が潔い訳

車窓から見えるのは季節の変わり目だったりするが、
今はみんな下を向いている。
あいにく持ち合わせている小説を読み終わってしまい手持ち無沙汰になったので周囲を見回してみるとそんな具合だった。
その中で一人本を読んでいるご老人の男性がいた。
反対側の斜め席で微妙に距離があるので何を読んでいるか分からないが、
結構読み込んでいる古めかしい文庫本に見受けられる。
久々にブックカバーをしないで読んでいる人を見た気がする。
そういえばいつからブックカバーなんてつけるようになったのだろう。
少なくても私が子供の頃にはそんなのはなかった気がする。
ここ20年くらいのことだろうか。
この20年で人は自分が読んでいる本を隠そうとしている。
私もだ。
理由は簡単だ。
何を読んでいるのか知られたくない。
人の目が昔より厳しくなったのかな?
いや昔から人の目はあったはずなのに。
意識の問題だろうか。
自分が見られているという自意識が強くなっているのかもしれない。
本当はそんなに人は人のことを見ていないのは分かっている。
でも見てる人は見てるのだ。その目が気になるのだろう。
きっと電車の中でブックカバーをしないで読む平和な日が来ることは訪れないかもしれないが、それでもいつか外してみたいと思う。
仮に明日雨が降ったとしても。

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