医者はエリート洗脳民である

2009年春、医学部に入学した。
入学までの自分はいわゆるガリ勉優等生であった。
と同時に、「自分は優秀なんだ」という感覚を持っていた。
医学部に入学した学生の90%以上は同系統なのかもしれない。

医学部は、一般的な学部と異なり、極めて閉鎖的社会である。
一般的な大学生はサークルや部活動を行う場合も、あらゆる学部生が参加するだろう。しかし、医学部は異なり「医学部生だけのサークルや部活動」に参加するのだ。

例外もあるかもしれないが、
サッカー部であれば、全学サッカー部と医学部サッカー部と同大学に2つ部活動が存在する。

ちなみに自分はラグビー部に入部した。

6年間の生活は基本的に、部活動とアルバイトの繰り返し。
それはそれは楽しい生活を送っていたと思う。
そんなに贅沢はできないが(する必要もないが)、毎日何も考えずに淡々と生活をこなすだけ。

考えることは部活とかアルバイトとか旅行とか、たまに試験とか勉強とか。
ニュースも読まないし、政治的活動もしない。
例外もあると思うが、間違いなくこのパターンが大半だ。

当時は「医学生であること」が立派な自分の仕事あるいは使命と思っていたのだろう。大学に入るまでは与えられた課題(≒勉学)をこなすことが正義と勘違いしていた、とも表現できる。

エリート洗脳民の誕生である。

「言われたことをやっていればOK!」
「与えられた課題を迅速かつ正確にこなす奴が優秀」

ちなみに、医学部は6年制で、6年次には卒業後「初期臨床研修医」として勤務する病院を探す過程がある。

我々はそれを「マッチング」と呼んでいる。

ここでもやはり洗脳色が強く出る。
すなわち「マッチング」を受けることをやはり「当たり前」だと解釈する風潮がある。

先に断っておくが、私はマッチングを受けることや、初期臨床研修を行うことを否定しているわけではない。研修医を行わなければ原則「一人前」の医者として活動できないルールである。

問題として提起したいのは、
医学部を卒業したからといって、必ずしも医者にならなければいけないわけではない、ということ。

あるいは、
「本当に自分達は、医者をやりたいのか?」

そういうところに早期から疑問を持つことが重要だと感じるのだ。

しかし残念ながら自分も大学6年生の頃は、そういう疑問を感じることはなく、何も思考せず、「マッチング」を受けたのだ。

(続)

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