大事に抱え込んでたものを手放して、一歩を踏みだすために…出雲まで。
あと3時間でポイントが失効する!
焦りながら必死に、ポイントの使い道を探す。
買いたいものも思いつかなくて。欲しかったわけでもないイヤフォンを眺めながら思った。
『出雲までバスで行くと、どれくらいかかるんだろう? ポイント使えないかな?』
本当は出雲に行く予定なんてなかった。
ただ、数年前に行ったとき、『そばが美味しい!』と思った。
そばを食べるために…もう1度来ようと思ったまま、4・5年がたった。
『そばを食べたい』という思いも、何もない今、なぜか出雲を思い出し、4日後のバスを予約した。
東京から出雲まで、7000円で行けるらしい。ポイントを使ったので、実質5000円以下。安い。
まだ、宿も帰りのバスも予約してない。
明日には、出雲に行く。なのにまだ、行先も決めてない。
ただ、出雲に行きたかったらしい。
※※※
私が出雲に行くのは、2回目だ。
初めて行ったのは…4・5年くらい前だと思う。
出雲大社といえば、縁結びの神社として有名だ。
だけど私は、縁切りに行った。
『別れたい』『別れなきゃいけない』と感じているのに、『もしかしたら、彼も変わってくれるかもしれない』『彼を逃したら、結婚できないかもしれない』という思いから、別れることができなかった。
私が違和感を感じても。
「あの人はいい人だよ」「あんなにい人はいないよ」「この仕事・感覚をそこまで理解してくれる人なんていないよ」と、周囲の人たちがその違和感を打ち消していく。
心が『苦しい』『離れたい』と叫びそうになって、体がうまく動かなくなって、気力がなくなって、何もできなくなって…。
だけど、私の『別れたい』に「もったいない」「高望みしすぎだよ」という人ははかりだった。
まるで、私が悪いみたいな気分になった。
別れなきゃいけないと感じてるのに、最後の決断ができなかった。誰かに背中を押してほしかった。
そんなときに思った。
『出雲に行こう』
『出雲大社は、縁結びの神社だ。本当に必要なご縁を結んでくれるのなら…不要な縁は切ってくれるはずだ。
もしも、それで縁が切れないのなら、私の勘違いだ。覚悟を決めよう』
『別れなきゃいけない』と感じてるのに、最後の決断を下せなかった私は、出雲大社に行くことにした。
※※※
ずっと行ってみたかった広島に行って、厳島神社に行って、山を登って…牡蠣を食べて感動して、知らない人たちと記念写真を撮って…。よくわからない旅行だたけど、楽しかった。
夜になって、バスで出雲に移動する。
翌朝、とにかく出雲大社に向かった。出雲大社に行くこと以外、なにも決めてなかった。
ただ、出雲大社に行きたかった。
※※
よく晴れた日だった。
雲が1つもない、出雲大社。
帰り際にもう1度お参りをする。
お参りをするたび、天気が変わる。晴れたり、曇ったり、雨が降り出したり、雪が降ったり…とにかく変な天気だった。
ただ、面白くて。何度も何度もお参りした。
はたから見たら、不審者だったかもしれない…
でも私は、子供みたいにワクワクした。
まるで、出雲大社といないいないばぁ~って遊んでるみたいだった。
出雲大社を後にした私は、それ以上行きたい場所なんてなかった。
しいて言えば、駅のホームで『最後の最後にもう1度、お参りすればよかったかも…』と思ったくらい。あと、おそばをもっと食べたかったくらい。
本当の本当は、まだ帰りたくなかった。
バスの時間まで、数時間、私はカラオケにいた。
思いっきり声を出して、歌って…とにかく疲れて、ぐったりしてた。でも、心はものすごく軽かった。
後から考えると、『別れよう』という流れが本格的になってく前兆だったのかもしれないとも思う。
いや、私の中で、別れることを決意した旅行だったのかもしれない。
…そんなことは、どうでもいいんだけども。
今回も、同じような感覚かもしれないなって気がした。
人間関係…もあるかもしれない。でも、人間関係とは限らない。
私はたぶん、今まで大事に抱え込んでいたものを手放すために、出雲に行くんだろうな。
今、ふとそう思った。
そして、これからの自分に必要ななにかを引き寄せるために…
自分がいたい場所を目指して、一歩踏み出すために…
出雲に行きたいのかもしれない。
ここに出雲のことを書いたのは、自分に気づかせるためだったのかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?