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やりたいことがない

 塾で、高校を卒業して働く子としゃべっていて、
『僕、やりたいことがないんですよね。』
 と自信なさげに話してくれた。

 これに関して、僕は幸せなんじゃないかと思っていて、
実際、そう返答した。

 というのも、僕がこの人は明確にやりたいことがあるなと思う人は、
反対に何らかの悲劇を味わっていたり、死にかけるような経験をしたことがあったりすることが往々にしてあるからだ。

 有名な経営者のなかにもそういう人たちは一定数いる。

 裏を返せば、そういった悲劇も死が身近に感じる経験も、
今のところなく、ここまで来れているということ。
 言い換えれば、社会の教科書には載らない部分だということ。
 何かが起こったから『歴史』になるが、
 そんな歴史の裏にある『何も起こらなかった日常』って実は尊いんだと思う。

 と思っているので、こんな話をして、
『だから、幸せなことだと思うし、有難いことだと思うよ。』
 と答えた。
(少しでも自分のことを肯定できていたらいいなと願っています。)

 やりたいことが無いからと言って自分を責めたり、誰かと比較して落ち込んだりする人が一人でも減ってくれればいいなと思っています。
 だって、今生きているだけでこんなにすごいことはないからです。

 そんな今日の出来事だった。

 

 

 

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