医療法人だって中小企業等経営強化法や中小企業投資促進税制を使いたい!
意外に思われるかもしれないが、医療法人が設備投資しても、税制上の優遇が少ない。
固定資産を取得した時に節税効果の高い「中小企業等経営強化税制」においては医療保健業を行う事業者が取得する医療機器については対象資産から除外されているからである。
さらには、医療機器は税務上は機械装置ではなく器具備品という扱いなので、「中小企業投資促進税制」も活用が難しいのも厳しい。
しかし、それでも医療機関が「中小企業等経営強化税制」や「中小企業投資促進税制」を活用する余地は、少ないもののまだ残っている。
今回は、「医療法人だって中小企業等経営強化法や中小企業投資促進税制を使いたい!」について、解説していく。
なお、この記事は、2018年1月6日の肥田木会計事務所ホームページ記事をアップグレードして掲載したものである。最後に、追加のアップグレード情報も記載しているので、併せて読んでいただきたい。
医療機関も中小企業等経営強化法、中小企業投資促進税制を活用
医療法人・クリニックにおける、「中小企業等経営強化法に基づく税制措置」、「中小企業投資促進税制」の活用については、分かりやすく解説されている書籍やホームページは、私が見る限りではなかなか見られないように感じております。
しかし、これらの税制は非常に節税効果が高く、節税に関心の高い医療法人の理事長様や開業医様は当然興味はある話題かと思います。
そこで、私なりに、医療法人・クリニックにおける(←ここが大事)、中小企業経営強化法に基づく税制措置、中小企業投資促進税制の活用を簡潔にまとめてみました。
中小企業経営強化法に基づく税制措置とは
中小企業等経営強化法に基づく税制措置は、中小企業投資促進税制の上乗せ措置です。上乗せ措置の内容は下記の2つです。
①固定資産税が3年間、半額になる。
②特定の資産につき、即時償却または取得価額10%(中小企業の場合)の税額控除の選択適用ができる。
医療機関における「中小企業等経営強化法に基づく税制措置」の適用場面は?
上記②については、医療保険業事業者については、医療機器、建物附属設備が除かれているので、対象となるのは器具備品で医療機器でないもの、及び、ソフトウェア(例:電子カルテ、レセコン等)に限られると考えられます。
上記①については、②のように医療保険業事業者については、医療機器、建物附属設備を除外する規定はないので、この特例を受けることができます。なお、ソフトウェアはもともと固定資産税がかからないので対象には含まれていません。
具体的には、どんな資産が対象になるの?
今後購入される資産が上記に該当すれば、適用可能性があるということになります。
「中小企業経営強化法に基づく税制措置」の節税適用を受けるにはどんな手続をとればいいのか?
簡単に記述しますと、
Step1.設備メーカー等に依頼して工業会の証明書を発行してもらう
Step2.中小企業経営力向上計画を申請、認定をもらう
Step3.設備を取得する
という流れになります。
中小企業経営強化税制の対象外となったソフトウェアについても、中小企業投資促進税制は活用できる可能性あり!
電子カルテ、レセコン等のソフトウェアについては、中小企業経営強化税制の対象外となっても、中小企業投資促進税制を適用して30%特別償却又は税額控除7%を選択できる可能性があります。
手間を要する事前の届出等も不要です。
~以下、追加アップグレード情報~
『経営力向上計画に係る固定資産税の特例措置』は、平成31年3月31日をもって終了している。
そのため、本文中の「上記①については、②のように医療保険業事業者については、医療機器、建物附属設備を除外する規定はないので、この特例を受けることができます。」という、医療法人等が取得する医療機器や建物付属設備について固定資産税が3年間半額になる措置は今は使えないのでご注意いただきたい。
一方、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」で『テレワーク等のための中小企業の設備投資税制』というものができた。
その内容は、「中小企業経営強化税制について、特定経営力向上設備等の対象に、遠隔操作、可視化又は自動制御化に係る要件を満たすことにつき経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウエアを加える」、というものだ。
医療機関でテレワークが実現可能かの検討は別として、もしテレワークを導入するのであれば、この制度を利用すれば固定資産取得価額の即時償却又は取得価額10%の税額控除のどちらか好きな方を使えるので、検討の価値は高い。
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