誰かの相談にのる時に使える、進捗が分かりやすくなる対話のしかた
研究の相談に乗っていると、人のやっている進捗を聞くことがよくあります。相手の進捗やこれからの計画がうまく捉えきれないと、よい議論ができなかったりします。
そういう時に、「やったこと」「やってること」「これからやること」を分けて対話するとやりやすくなります。よくあるのは、相手の中ではそれらの区別がはっきりしているけど、話のなかでは明確になってないケースがあります。なので、会話の中で意識的に分けて聞いていけば自然と出てきます。その上で、どの部分についてどのような内容を特に相談したいかも対話していくと、より効果的です。
たとえば、後輩が「AさんにウケるZという特徴のある新しいカレーライスの提案」という研究を進めているとしましょう。そして、その進捗を先輩に報告しているシーンで考えてみます。
後輩:AさんにはZという特徴がウケそうなことが分かったので、Zという特徴が入れたカレーを試作してAさんに食べてもらうつもりなのですが、大丈夫でしょうか?
先輩:なるほど、これまでにやったこと、いまやってること、これからやることをそれぞれ聞きたいから、教えてもらえるかな?
後輩:これまで調査に取り組み、AさんにはZという特徴がウケることが分かりました。なので、Zという特徴をどのようにカレーに取り入れるかを設計しています。
先輩:設計はもう終わってるの?
後輩:いえ、まだ終わっていません。いま取り組んでる最中です
先輩:そうなんだ、じゃあ、これからやろうと思っていることは?
後輩:これからは、設計を終わらせ、Zという特徴を取り入れたカレーライスを試作し、実際にAさんに食べてもらおうと思っています
先輩:分かった、そのなかで特に何を議論したい?
後輩:はい、いま取り組んでいる、Zという特徴をどうカレーに取り入れるか議論したいです。もし時間があまれば、これから取り組む部分の、試作をAさんにどのように食べてもらうか、についても議論したいです
このように意識的に聞いていくことで進捗がわかりやすくなります。また、このように聞いていくときに、共有できるドキュメントに箇条書きでまとめていくのもおすすめです。たとえば、次のような感じです。
やったこと:
調査に取り組み、AさんにはZという特徴がウケることが分かった (a)
やってること:
Zという特徴をどのようにカレーに取り入れるかを設計中(未完了) (b)
これやらやること:
設計を終わらせる (c1)
Zという特徴を取り入れたカレーライスを試作する (c2)
実際にAさんに食べてもらう (c3)
相談事項:
「b」のどのように取り入ればよいか
「c3」のどのように食べてもらうと良いか
このように聞いたことをお互いに見えるように整理しておくと対話がしやすくなります。また、お互いに話していくときに、いまどこについて話しているかを指し示せるので、論点がブレにくくなります。
今回は、進捗を理解しやすくするための聞き方を紹介しました。とくに、急いで伝えようとしている人や焦っている人だと矢継ぎ早になって伝え方があいまいになりがちです。そういう時に、活用してみてください。
また、型を知っていても、いざやろうと思ってもできないこともあります。時間があるときに実際に試してことをおすすめします。自分に合うやり方を見つけて、身につけていきましょう。
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