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齋藤市長 新年度施政方針 誇れる石巻 次世代へ 

 今年最初の石巻市議会定例会が9日に開会し、齋藤正美市長が新年度の施政方針を述べた。東日本大震災から間もなく11年を迎える中、齋藤市長は「復興は私の使命。市民、支援をくれた多くの人の願い」と強調。その上で「誇れる石巻を次の世代に継承するため、全力で市政運営に取り組む」と述べた。

コロナ対策など6重点施策

 齋藤市長は4月に就任2年目に入る。施政方針演説は新型コロナ対応の最前線に立つ医療従者への感謝の言葉から始め、六つの重点施策を提示。昨年の所信表明で基本姿勢の柱とした①全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり②安全・安心なまちづくり③人口減少対策と地域コミュニティの強化④産業の発展と雇用創出⑤物流拠点の形成と新たな観光の構築―を引き続き重点とし、6番目に広域連携体制の強化を盛り込んだ。

 一つ目の「全ての世代―」では、多彩な祭りやスポーツ、文化芸術活動を通じて交流人口の拡大に向ける。高齢者の生きがいづくりや自然の保護と魅力の発信、SDGs(持続可能な開発目標)推進に取り組む。

齋藤市長が施政方針を示した

 「安全・安心―」は避難道路整備や消防団活動の支援など防災・減災対策を講じ、新型コロナの検査やワクチン接種体制に万全を期す。医療の充実や人手不足にある介護従事者の処遇改善、人材育成強化にも努め、障害の有無に関わらない地域共生社会を目指す。

 「人口減少―」では若い世代の定住に向けた総合的な対策を推進。子ども医療費無償化を18歳までに拡大するなど結婚から子育てまで切れ目なく支える。地域コミュニティの強化は交通手段確保や住民自治組織の設立支援を後押しする。

 「産業の発展―」では市の特色を生かす考えで、特に漁船誘致は「私が先頭に立つ」と意欲。1次産業の担い手の育成や企業立地の促進、全世代の就労対策と支援にも力を入れる。

 「物流拠点―」は石巻港の機能強化や石巻新庄道路の早期実現などを重視し、国や県に働きかける。観光面で旧北上川沿いなど「いしのまき水辺の緑のプロムナード」や昨年に供用開始した南浜マリーナの利活用を図る。

 「広域連携―」では2市1町で人口減少に対応するため、震災で中断していた石巻圏域定住自立圏の形成を推進。観光周遊ルートの開発にも取り組む。

 これらの実施に向けた新年度の一般会計当初予算は前年度当初比2・7%減の約729億円。復興予算から通常予算への転換を図り、将来を見据えて身の丈にあった編成とした。

 提出議案は当初予算を含め55件、会期は3月16日までの36日間。2月18、21日は施政方針への会派代表者質疑を行う。【熊谷利勝】

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令和4度施政方針要旨
誰もが活躍できるまち推進
石巻市 齋藤正美市長

 令和4年度に取り組む6つの重点施策を述べる。一つ目は「全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり」であり、多彩な祭りやスポーツ、文化芸術活動などを通じて、誰もが生きがいを持って活躍できる魅力あるまちづくりを推進する。

 交流人口の拡大に向け、本市最大のイベントである「石巻川開き祭り」をはじめ、歴史や文化等を伝える祭りの開催を支援していく。また、複合文化施設「マルホンまきあーとテラス」を活用し、イベントや企画展・特別展を通して市内外からの誘客を図る。

 スポーツを通じた地域活性化に向け、官民一体の「スポーツコミッション」の設立へ調査・研究する。陸上競技場の整備は関係団体を交えて調査・検討していく。SDGsの推進では、新たに(仮称)いしのまき圏域SDGs未来企業制度を創設し、企業等の取り組みを後押ししていく。

施政方針を述べる齋藤正美市長

 二つ目は「安全・安心なまちづくり」。原子力災害時における避難計画の実効性を高めるには、避難道路が不可欠であり、国と県に整備を強く求めていく。消防団員確保は重要な課題で、処遇改善を図る。新型コロナウイルスへの対応として、圏域の検査体制の充実を図っていくほか、ワクチンの追加接種を順次実施していく。共生のまちづくりへ石巻駅前広場のバリアフリー化を進める。

 三つ目の「人口減少対策と地域コミュニティの強化」では、新しく結婚生活を開始する若者世帯に支援を行う。子ども医療費は18歳まで無料化し、経済的負担を軽減する。移住促進と関係人口の創出では、移住体験機会の提供や居住環境整備を支援。地域コミュニティの充実と強化の取り組みとして、地域自治システムを「ずっと住みたい地域づくり支援事業」に名称を改め、住民自治組織の設立を支援する。

 四つ目の「産業の発展と雇用創出」については、ギネス世界記録に認定された「最も長い魚市場」を積極的にPRし、漁船誘致活動を私自ら先頭に立って推進する。企業立地の促進に向けては、桃生地区など産業団地の形成に向けた適地調査を実施する。全世代の就労対策と支援に努める。

 五つ目は「物流拠点の形成と新たな観光の構築」であり、海上輸送の拠点である石巻港の機能強化や石巻新庄道路の早期実現について国・県への働きかけを進める。新たな観光資源の構築に向けて、「いしのまき水辺の緑のプロムナード」を快適に利用してもらうため、高校生との協働による施設整備を進める。また、「南浜マリーナ」の県内初となる「海の駅」登録を目指す。

 六つ目の「広域連携体制の強化」では、東松島市、女川町合意のもと、石巻圏域定住自立圏の形成を推進する。広域観光の推進に向けては、新たな周遊ルートの開発等による旅行商品の充実を図る。

 震災から間もなく11年、今なお多くの人から支援をいただいている。復興完結は私の使命であり、市民、支援してくれた多くの人の願い。石巻の豊かな自然、食、日和山から見る風景、世界一の魚市場、そして市民(ひと)、私が生まれ育った「この故郷(まち)」の全てが、私の誇り。この「誇れるいしのまき」を、次の世代にもしっかりと継承していくため、引き続き、全力で市政運営に取り組んでいく。


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