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客足戻らず交通機関悲鳴 「売り上げ前年の1割」「利用回復には時間」

 新型コロナウイルスの影響で、観光客などを顧客とするタクシーや地域の足となるバスの利用は激減した。緊急事態宣言が解除されても受けた打撃は大きく、売り上げは例年の1割程度にとどまるなど収益回復には長い道のり。今そこにある苦境をどう乗り切るかが課題と言えそうだ。【渡邊裕紀】

 宮城交通(株)=石巻市不動町=は創業から半世紀以上、地域のタクシーとして親しまれている。ドライバーの今野恵太さん(39)は「4月ごろから石巻市を訪れる観光客が減り、タクシーを使う人も少なくなった。また、夜の街に繰り出す人が目に見えて減り、売り上げは昨年比の1割にまで減少した」と話す。宣言解除後も戻らない客足に頭を悩ませる。

 (株)ミヤコーバス石巻営業所=同市東中里=では、宣言に伴う自粛後から利用客が激減した。山﨑強支配人は「高速バスは通常なら座席の半分が埋まるが、今は1割に届かない日もある」と嘆く。市内路線も利用客が2割以下の日があり、苦しい状況が続く。宣言解除後も山﨑支配人は「利用客の回復にはしばらくかかるだろう。今は耐え抜くしかない」と歯を食いしばる。利用客の減少で高速バスは2割ほど減らしたが、市内路線は市民らの重要な交通手段であり、今も通常通りの運行を継続。しかし維持費が大きくのしかかっている。

新型コロナ地域の声 公共交通機関の影響

石巻駅前は人の姿も少ない

 JR石巻駅内に店舗を構えるコンビニエンスストア「ニューデイズ石巻」では、仙石線や石巻線、路線バスなどの公共交通機関を使う人の利用が多い。同店の高橋美由紀マネジャー(51)は「4月に入ると売り上げは昨年の3割にまで落ち込んだ。通学、通勤で駅を利用する人たちが激減したことが大きい」と話していた。

 例年は石ノ森萬画館など観光施設を目当てに週末、祝日は多くの人が石巻駅に降り立つが、今年は臨時休館や外出自粛もあって駅前は人通りが少ない。各駅にあるニューデイズを管理する(株)JR東日本リテールネット仙台支店の大久保朋和副店長(48)は「バスや駅利用者のほか、石巻市立病院に通院、見舞いの人も店を利用していたが、外出自粛で大きく減った」と深刻さを口にする。

 6月からは県境越えの自粛が段階的に解除され、人の動きが増えればバスや電車、タクシーの利用も回復してくるが、同時に目に見えないウイルスの脅威にさらされる。3密回避やせきエチケットなど、第2波を生まない一人一人の行動なくして地域産業の回復は成し得ない。


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