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石巻川開き祭り中止決定 納得も「残念」「夏の思い出が…」

 街なかに元気な音を響かす小学校鼓笛隊パレードや旧北上川に水しぶきを上げる孫兵衛船競漕、さらには豪華な打ち上げ花火―。石巻市最大の夏祭り「石巻川開き祭り」は、今年の開催が見送られた。祭実行委員会は感染拡大が収束する見通しが立たず、市内外から大勢集まる祭りの開催は困難だと判断した。【熊谷利勝】

 中止に肩を落とすのは、富国工業石巻工場=石巻市不動町=の庄司武彦工場長(52)。社員の一体感を高めるため、毎年の孫兵衛船競漕に出場し、近年は石巻広域消防と競り合ってきた。昨年は3連覇を逃しており、次が雪辱の機会になるはずだった。さらに今年は孫兵衛船が市内での東京五輪聖火リレーに用いられる予定だったが、それも延期。「本来なら例年以上に注目される競漕になったのに」と悔しがった。

 孫兵衛船競漕はカメラマンにも絶好の被写体だ。石巻市田道町の松本典彦さん(84)は、川開き写真コンクールの常連。「楽しみがなくなった」とさみしがる。「よそが中止なのに石巻だけできない。開催して観客が少なかったら、それもさびしい」と納得している。

 市民が参加して盛り上げるのも川開きの良さ。街なかの七夕飾りの中心を担ってきた一般社団法人イシノマキ2・0の阿部拓郎さん(32)も中止に理解を示す。商店街が協力する従来の飾り付けが難しくなっており、新しい仕組みを模索。「良くも悪くも時間ができた。来年の再開時に新しい七夕飾りの風景を見せられれば」と語った。

 楽しみにしていたのは子どもたちも。山下小学校6年の鈴木那菜さんは、みんなで練習を重ねてきた鼓笛隊が披露できなくなった。中止を「仕方ない」としつつ、「夏の思い出が作れないのは悲しい」と胸の内を明かした。母親の美紀さん(44)は「感染リスクを考えると、命には代えられない」と言い、「娘は小学校最後の学年。練習成果を披露する別の場を」と求めた。

 夏の一大行事の中止は地元経済にも影響する。花火が眺められる川沿いの島料理「友福丸」は、名物のウニ料理の旬でもある8月が1年で一番繁盛。コロナで今月の売上が前年から7、8割落ち込み、そこへ来ての川開き中止に「はっきり言って被害が大きい」と阿部安孝店長(42)。「とにかく一日も早い収束を」と願った。


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