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五輪延期 リレーも中止 地元ランナー落胆と理解

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今夏の東京五輪が1年程度延期されることが決まり、26日に福島県で始まる予定だった聖火リレーも中止になった。聖火リレーは改めて日程調整をして実施する方向で、大会組織委員会は現在決定している聖火ランナーは優先的に走行してもらえるよう検討する考え。東日本大震災からの復興を発信する機会として、6月に石巻地方を走ることが決まっていた聖火ランナーからは、戸惑いや落胆とともに一定の理解を示す意見もあった。【山口紘史】

 安倍晋三首相と国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は24日、電話形式の会談を行い、新型コロナの感染拡大による影響を懸念して、五輪開催を1年程度延期する方針で一致。その後のIOC緊急理事会で承認された。開催めどは来夏までとし、今後調整に入る。五輪の延期は夏冬通じて初めて。これに伴い組織委も聖火リレーを一旦中止とすることを決め、新たな日程で開催する方向で検討に入った。

 聖火リレーは26日に福島県をスタートし、121日をかけて47都道府県859市区町村を回る行程。宮城県内でも6月20―22日に石巻地方を含む16市町を約240人のランナーが走る予定だった。組織委は新たな日程でもコースを維持し、内定していたランナーも優先的に走れるよう検討しいていくという。

聖火リレー中止

聖火リレー通過までの残り日を知らせるボードが撤去された(東松島市役所)

 リレーのコースとなっていた市町は対応に追われ、東松島市では庁舎内に提示していたカウントダウンボードを撤去。ランナーに決まっていた人たちも複雑な心境だ。

 7人制デフラグビー日本代表として活躍する聴覚障害者の相澤一志さん(26)は「障害者に勇気を与えたい」という思いでランナーに応募し、東松島市内を走る予定だった。「正直、ショックと残念な気持ちが大きい。内定をむだにしてほしくない」と肩を落とした。

 石巻市内を走る予定だったがんばろう!石巻の会事務局長の黒澤健一さん(49)は「大切なのは世界から訪れるアスリートが万全の状態で競技に臨むこと。延期は覚悟していたし、不安なく夢のある本来の五輪に近づいたと思う」と理解を示した。

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