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文科省 学校の新生活様式 感染レベル別の対応示す 現場「全部は厳しい」

 新型コロナウイルスの感染防止対策で臨時休校が続く石巻地方の小中高校が、いよいよ6月1日から通常授業を再開する。これを前に、文部科学省は学校における衛生管理マニュアル「学校の新しい生活様式」を公表した。地域の感染レベル別の行動基準、教科ごとの対応も明記されたが、現場からは「最大限の対策はもちろん講じるが、全部となるとかなり厳しい」など率直な声も聞かれる。【近江  瞬】

 石巻地方の小中高校は、一斉休校の要請で3月2日から臨時休校。小中学校の一時再開を挟んで今月末まで約3カ月間、休校が続く。通常授業再開へ今月中旬から学年や地区別の分散登校が始まり、25日からは東松島市の小中学校で午前授業を実施。6月1日にはようやく2市1町で通常授業に移る。

 これに先駆け、文科省は「学校の新しい生活様式」を出した。感染リスクをゼロにはできないという前提で3密回避を徹底し、マスク着用や手指消毒といった基本的対策を続けるなど、感染対策と教育活動の両立を図ることで、子どもの学びを保障していく。

新しい生活様式_行動基準_表-01

 この中では地域の感染レベルに応じた行動基準も示され、それぞれに確保すべき身体的距離、感染リスクの高い教科活動の可否、部活動の制限、休み時間の行動を明示。宮城県は3段階中、最も低いレベル1となり、身体的距離は1メートルを目安に最大限確保することを求め、感染リスクの高い教科も対策の上で実施できる。

 換気は普通教室や体育館、夏場のエアコン使用時も要請。マスクは基本的に常時着用が望ましいが、熱中症など健康被害が発生する可能性が高いと判断される場合や、体育の授業での着用は求めない。水泳授業は更衣室の密集を避け、接触を避けることを前提に実施可能。対策が困難な場合は本年度の実施は控えるよう求めた

感染リスク_教科_表-01

 仮に校内で体調不良者が出たときは、帰宅させ、症状がなくなるまでは自宅療養。欠席日数に加えず出席停止となる。万が一、感染者が確認された場合は、濃厚接触者が保健所により特定されるまでの間、学校の全部または一部の臨時休校となる。

 このほか感染者や濃厚接触者である児童生徒への差別、偏見、いじめ、誹謗(ひぼう)中傷が起こらないよう十分な配慮と注意が必要とした。

 通常授業の再開を目前に控えた中での今回の内容に、石巻市内の小学校長は「与えられた環境の中ですべきことを確実に実践していく。学校が子どもたちを守るのと同時に、子どもたちに自己防衛の教育をする必要がある」と語った。別の小学校の教諭は「分散登校でもかなりの接触がある。対策を講じた上なら実施可能と言われても不安が消えるわけではない。学校ごとの判断では授業にも差が生まれてしまい、一律に判断すべき」と指摘した。


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