元県議の齋藤氏初当選　新人4人の激戦制す　関心高く 投票率51.48％

　無所属の4新人が立候補した任期満了に伴う石巻市長選挙は、25日に投開票され、元県議の齋藤正美氏（66）が初当選した。今期限りで引退する現職の後継指名を受け、市政継承と発展を訴えた齋藤氏は、知名度の高さに加え、自民、立憲民主党の推薦で強固な体制を築き、2万3千票余りを得た。当日有権者は11万9210人（男5万7520人、女6万1690人）。投票率は51.48％。4年前の前回市長選から7.17ポイント上昇した。

　齋藤氏の選挙事務所内は、激戦を覚悟して緊張感に包まれていたが、午後11時半前に「当選確実」の一報が入ると、どっと歓喜に沸いた。間もなく、祝福されながら齋藤氏が妻の幸枝さん（63）と共に事務所入りし、戦いでかれた声を振り絞り支援に感謝を述べた。

万歳する齋藤氏（右から2番目）と妻の幸枝さんら（25日午後11時35分ごろ）

　新たなリーダーの誕生に立ち会った支持者は事務所内約50人、外のテントに100人以上。地元の安住淳衆院議員ら推薦した政党関係者も祝福した。

　高橋誠志選対本部長は「新たなかじ取り役を担う齋藤さんに、さらなる力添えをお願いしたい。携わってくれた全ての人に心から感謝」とあいさつ。3期12年務めた亀山紘市長（78）は「市政の継続と共に新たな石巻、活力ある石巻を再生してほしい」と託し、渥美巖東松島市長、須田善明女川町長も元県議仲間として連携による圏域の振興に期待した。

　最後にマイクを手にした齋藤氏は「遊説で大きな期待を感じ、そのたびに使命感と責任を感じた。皆さんのおかげで当選し、亀山市長の後継の任に就くことができた」と深々と頭を下げて感謝。「未来への責任ある市政を実現し、誇りある古里づくりのため、オール市民で取り組みたい」と抱負を述べた。【熊谷利勝】

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「原点に立ち返り考える」　勝沼氏 知名度不足響く

　事実上の一騎打ちに敗れた勝沼氏は、午後11時35分に硬い表情で支持者が待つ事務所に姿を見せた。物音一つしない静寂の中、勝沼氏は感謝の思いを口にしつつ「私の努力不足であり、本当に申し訳ない」と頭を下げ、「結果を受け止め、石巻の未来にどう力添えができるか原点に立ち返り考えたい」と話した。

支持者と握手を交わす勝沼氏

　投票率の伸びに対しては「多くの人が投票し、意志を示してくれてうれしい。若者も背中を押してくれた」と語った。「一番の敗因は知名度不足。地元出身でないことも大きかった」と分析し、今後については「白紙」。後援会と話し合って決めるという。

　選挙を共に戦った後援会メンバーは大きくうなだれ、支持者からは再挑戦を望む声も聞かれた。【山口紘史】

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「私の力不足だった」　長氏 市政を見守る

　長氏は投票が締め切られた午後8時前から事務所入りし、椅子に座って静かに開票を待った。票差が開き始めたころから事務所の雰囲気も重くなり、長氏は午後11時半の開票速報後に支持者の前で報告。「皆さんからの思いを受けて選挙戦に臨んだが、支持を得られなかったのは私の力不足だった」と話し、深く頭を下げた。

支持者から花束を受け取る長氏

　選挙戦では医師の立場から暮らしを見つめ、市立病院の改革を含めて復興のあり方に一石を投じる論戦を繰り広げた。長氏は「投票率の向上は、政治をあきらめていた人たちの声が届いた結果」と高く評価した。

　再び選挙戦に臨むのか、進退には「白紙の段階」と話す。その上で「市政の状況を見守りながら判断していく」とした。【渡邊裕紀】

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「残念な結果、悔しい」　阿部氏 次は出ない

　阿部氏は午後11時10分過ぎ、事務所に姿を見せた。「これから30％弱の票が開いても当選には届かない。残念な結果で悔しいが、力不足で申し訳ない」と支持者に深々と頭を下げた。

支持者にあいさつする阿部氏

　市長選は3度目の挑戦。自己最多となる3万軒以上をコツコツ回った。「これまでにない手応えがあり、いけそうかなと思った」と話すだけにショックは大きい。

　「コロナ禍では草の根の方が強いと思ったが、巨大な組織の中に埋没してしまった。ここ数日でひっくり返された」と分析。静まり返る支持者を前に「今後もよろしくお願いします」と持ち前の明るさで笑顔を見せると拍手が沸いた。

　4度目は「ない」と明言。今後は「2、3日考えたい」と話していた。【本庄雅之】

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