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「今、すごく楽しいよ」 向陽小・タイムカプセル開封 20年越しに私と再会

 石巻市立向陽小学校(片岡有吾校長)で7日、20年前に閉じられたタイムカプセルが開封された。当時の1―6年生(現在の26―32歳)やその家族ら約50人が参加。カプセルには学校生活を撮った写真や寄せ書き、20年後の自分に宛てた手紙などが入っており、懐かしさに浸りながら思い出を語らっていた。

 カプセルは「ひまわりサン・3」と命名され、20年前、同校が開校30周年を迎えたことを記念して作られたもの。直径63センチ、高さ90センチの円筒状で断熱材を有した二層式のステンレス製。鉄工所で働いていた当時のPTAが「児童のために」とオリジナルで制作したという。カプセルは土に埋めず、校舎玄関付近に設置され、職員が大切に保管。「20年後に開封しましょう!」というメッセージも添えられていた。

思い出の品を眺めながら懐かしさに浸った

 それから20年。今のPTA(小野寺昭博会長)が音頭を取り、開封を企画。帰省者も参加しやすいよう1月7日に決め、SNSや新聞、学校だよりで周知した。

 開封に先立って行われたあいさつで、小野寺会長は「卒業生がこんなに集まるとは思わず感動している」と感謝。当時のPTA会長で同校1期生の高橋満さん(62)は「懐かしの品と共に思い出を語らってもらえれば」と参加者に呼び掛けた。

平成14年10月3日の石巻日日新聞に掲載された当時の写真

 カプセルは卒業生たちの手で開封。12本のネジを外し、ふたを開けると、中からは鼓笛隊の演奏風景を撮った大型の写真やクラスごとの寄せ書き、手紙の束などがごっそり姿を現わし、「うわー」「懐かしい」「恥ずかしい」などの声が上がった。

 当時3年生だった条悠斗さん(29)=県漁業協同組合女川町支所勤務=は、20年前のプロフィールシートを眺めつつ「野球に励んでいたはずだが、なぜか得意なスポーツの欄にはサッカーと書いてある」と笑い、「20年前の自分には『人生いろいろあるが、もうちょっと勉強しておけ』と言いたい」と、はにかんでいた。

 当時6年生だった今野志麻さん(32)=就労支援マナビー石巻駅前事業所勤務=は、自分宛ての手紙を握りしめ「うれしい、感動しますね」とぽつり。「いろいろあったけど、頑張って良かったね。今はすごく楽しいよって、当時の自分に言ってあげたい」と話していた。

 この日持ち主に引き渡せなかった思い出の品は当面、同校が管理。片岡校長は「学校に来てもらえれば随時、お渡ししたい」と話していた。【山口紘史】





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