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選挙戦 早くも折返し 遊説軸にアピール躍起 個人演説会なく街頭専念

 無所属新人4人が立候補した石巻市長選(25日投開票)は21日、1週間の選挙戦の折り返しとなった。密集や密接を避ける新型コロナウイルス禍は会場を押さえた個人演説会をしにくく、選車による遊説中心の選挙戦。政策や公約を直接訴える機会も限られるため、各陣営は有権者の距離を縮めようとアピールに躍起だ。

 立候補したのは届出順に、元市立病院医師の長純一候補(54)、元衆院議員の勝沼栄明候補(46)、元市議の阿部和芳候補(61)、元県議の齋藤正美候補(66)=自民、立民推薦=。

 唯一、議員経験のない長候補は特定の政党や組織の応援に頼らず、市内をくまなく回る草の根活動を展開。かつて「診療で世話になった」と恩義を感じる市民も少なくないが、引き続きポスター掲示などで知名度向上を図る。「市民の命を守る」の大テーマは変わらず、日本一のコロナ対策と医療福祉分野の是正・拡充、原発再稼働反対を訴える。

 勝沼候補の最大の武器は若さと行動力。選車に手を振る人を見つければ車から降り、素早く駆け付けてグータッチ。陣営は「選車の日程がずれる」と口にするが、好感触もつかむ。とにかく走り、走り続けた結果、懸念されていた知名度も広がりを見せる。「1週間走り続けられるのは勝沼だけ」(陣営)。勢いは終盤戦も変わらない。

 阿部候補は、コロナ対策で演説会は行わず、選車で各地域を回りながら状況に応じて車から降りてあいさつ。出身地周辺では、なじみの顔が沿道で出迎え予定の時間をオーバー。当日の予定を消化しきれなかった。陣営では「手ごたえは十分。うれしい悲鳴」とし、後半も市内をくまなく回る予定だ。

 地元出身の齋藤候補は政治経験も知名度も抜群。街頭に立てば道行く車がクラクションで合図し、選車が通れば民家から人が出て来る。万全な体制で選挙に入り、「感触は良い」と陣営。政策協定を結ぶ立民も強力に後押しする。後半戦も奇をてらわず、遊説や電話での呼び掛けなどオーソドックスな戦術で票を確実にしていく。

 期日前投票は19日から市役所や各総合支所など11カ所で始まっており、初日が1533人(男742人、女791)、2日目が1872人(男857人、女1015人)。4年前の石巻市長選は初日が805人、2日目は1039人であり、ともに2倍近い伸び。期日前は22日から24日まで、イオンモール石巻でも投票所が開設される。【外処健一、熊谷利勝、山口紘史、本庄雅之】


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子どもに優しい市長は誰?
PJ・候補者に公開質問 HPなどで詳細回答公開

 地元高校生や子育て世代、子育て支援者らで構成する「子どもにやさしい石巻市長を選ぼうプロジェクト(PJ)」は先日、石巻市長選候補者に対し、子育てや教育課題に関する公開質問状を制作して投げかけ、15日までに回答を得た。各候補の詳細回答はPJのホームページ(HP)とフェイスブックで公表している。

子どもにやさしい石巻市長を選ぼうPJ 市長選候補者に公開質問状 全回答をHPで公開中

公開質問状の内容を制作したPJメンバー

 同PJは、石巻市を「子どもと子育てに優しいまちにしたい」と願う子どもと大人の個人・団体で構成。石巻市は東北地方では珍しく「子どもの権利に関する条例」を制定している自治体であり、PJも子どもの権利の推進と子育てに関する施策拡充に期待を寄せる。

 PJは市長選にあたり、各候補が「子ども、子育て」の政策にどのような考えを持っているのかを聞き、市民と共有するため全9項目からなる公開質問状を作成。8日に予定者5人(最終的に立候補は4人)に送り、全員の回答を得た。

 いじめや不登校対策で長純一氏(54)は「背景要因は複雑。貧困や包括的支援の不足など課題が山積みで最重要課題」と回答。フリースクール支援など多様な学び環境づくりで勝沼栄明氏(46)は「学校以外の居場所づくりや人との出会いの場づくりを後押しする」と記した。

 学びの選択肢を増やす取り組みで阿部和芳氏(61)は「旧石巻合同庁舎敷地に新たな図書館を設置するなど対応する」と独自策を提案。中高生の居場所づくりについて齋藤正美氏(66)は「公民館を中高生の居場所に利用することは可能と考える」などと示した。

 PJの吉川恭平代表は「各候補や市民に少しでも子どもの声を聞いてもらい、子どもと子育てに優しいまちにしていく契機になれば幸い」と話していた。【山口紘史】


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