輪切り大根 顔にペタッ 石巻市長面 アンバサン すす付けあい無病息災
石巻市から民俗文化財に指定されている長面の伝統的な奇祭「アンバサン」が6日、北野神社末社・大杉神社(高橋範英宮司)で行われた。コロナ禍でも被災で離散した住民同士が集い合える場と伝統を守るため、参加者数を制限するなど対策を講じ、感染の早期収束を祈った。
茨城県から岩手県に散在する大杉神社は「安波山(あんばさん)」とも称され、沿岸漁村地域で船舶の航海安全や大漁の神として信仰されている。長面地区では、同神社例祭として400年以上前から始まり、鍋釜から集めたすす(ヘソビ)を輪切りにした大根の断面に付け、顔に塗り合うのが習わし。
今年も参加者を代表15人に絞って開催。供物を持ちながら大杉神社を目指して一列に参道を登り、到着後は太鼓の打ち鳴らしや神事を行った。玉串を捧げた代表者は、高橋宮司から額や頬、鼻先にすすを付けてもらったほか、小さな輪切りの大根を配って参加者同士で塗り合った。最後は海側を向いて「大漁大漁大漁だー」「満作満作満作だー」などと唱え言葉を三唱した。
震災前は長面地区に住んでいた三條すみゑさん(63)=同市小船越=は「昨年コロナの収束とマスクを外した生活の実現を願ったが、今年も感染が広まる一方。アンバサンや地域行事は大切な再会の場。感染が収束して人がつながり合える状況に早く戻ってほしい」と語っていた。【横井康彦】
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