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県議会 女川2号機再稼働容認 被災原発で初 賛成請願採択 知事 来月にも同意の公算

 東北電力女川原発2号機の再稼働を巡り、県議会は22日の定例会本会議で、早期再稼働を求める請願を採択した。東日本大震災の被災地のうち、原発立地県の議会が再稼働容認の姿勢を示したのは初めて。再稼働の前提となる「地元同意」については村井嘉浩知事の判断が焦点となる。村井知事はこれまで「議会の判断を重視」と繰り返し述べてきたことからも、同意の公算が高い。市町村長会議や石巻、女川との3首長協議を経て早ければ11月中にも正式に判断が示される見通しだ。【山口紘史】

県議会 原発再稼働容認 本記用写真

起立採決で再稼働に賛成する請願が採択された

 県議会には、女川町商工会から早期再稼働を求める賛成請願、県内53の市民団体からは反対請願がそれぞれ提出されていた。13日には環境福祉委員会が各請願を審査し、賛成請願を採択していた。

 22日の本会議は議長と棄権2人を除く54人の起立採決で賛成請願が賛成35、反対19で採択、反対請願が賛成19、反対35で不採択となった。賛成は自民党・県民会議や公明党県議団、21世紀クラブ。みやぎ県民の声、共産党県議団などが反対した。

 請願を巡る最後の論戦で、賛成議員は「再稼働は経済活性化や化石燃料からの脱却にもつながる」「石巻、女川両議会も容認姿勢を示しており、地域の思いに県議会も寄り添う必要がある」と主張。反対議員は「安全性が絶対的でなく、重大事故発生時の広域避難計画にも実効性がない」「熟議が尽くされず、早期理解表明は将来に禍根を残す」と強調した。

note用議場の傍聴券を取れなかった来場者のため、県議会庁舎1階のフロアにモニターと視聴席が設けられた

議場の傍聴券を取れなかった来場者のため、県議会庁舎1階のフロアにモニターと視聴席が設けられた

 村井知事は11月9日に県内35市町村長を集めた会議を開き、再稼働に関する意見を聞く方針。その後、立地自治体の石巻市の亀山紘市長、女川町の須田善明町長と3首長協議を行い、意思を公表する見通しだ。

 女川原発2号機は今年2月、原子力規制委の審査に合格。東北電力は安全対策工事を終える令和4年度以降の再稼働を目指している。


「判断重く受け止める」村井知事 一問一答
3首長協議で最終判断

 「県議会の判断を重く受け止める」―。村井嘉浩知事は本会議後、報道陣の取材に答えたが、再稼働に対する自らの意思や判断については明言を避けた。主なやり取りは次の通り。【山口紘史】

原発再稼働 知事一問一答

本会議後、取材に答える村井知事

―県議会の決定には。
知事
 被災した立地県の議会で初めて容認の意思を示し、大きな節目を迎えた。議会の判断は重く受け止めるが、私としてはまだ意思決定をしたわけではない。市町村長会議(11月9日予定)で意見を聞いた後、石巻市長、女川町長との3首長協議を経て最終的に判断する。

―議会が再稼働を容認したことで、知事の判断も容認に傾いたか。
知事
 当然いろんな思いがあるが、コメントは控える。

―県民から議会の議論が足りない、知事が地元理解を表明するのが既定路線だ、などの声があるが。
知事
 議会の結論が拙速か否かは、議会が判断するもの。議会には「個々の判断で結論を出してほしい」と申し上げていたので、あくまで各議員の判断。私の考えを忖度(そんたく)したということは決してない。

―石巻、女川との3首長協議の時期は。
知事
 市町村長会議の結果次第。そこでまだ議論の余地があるとなれば、複数回会議を開く可能性もある。早期に結論が固まれば3首長協議も11月中に実施することもあり得る。

―再稼働賛成の請願が採択された瞬間、知事は大きく息を吐いたように見えた。どんな心境だったか。
知事
 自然に出たものなので、映像を見ないと分からないが、少なくともあの瞬間は重い決断が下ったと感じた。


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