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石巻市長選 立候補予定者に聞く まちのつくり方 長純一さん(54)=元市職員、市立病院職員=

Q1 経済、感染対策の両面から新型コロナウイルス対策は具体的にどうするのか。
 石巻市立病院には医療圏唯一の感染症専門医や総合・訪問診療を行う医師がいる。同院の特長を生かし、更に私が構築した包括ケアシステムで、日本一のコロナ対策を構築する。
 経済対策では独自の緊急貸し出しや、補償制度なども検討する。石巻市には包括ケア推進に関わる社会福祉士が多数おり、従前福祉制度を活用してコロナ禍の経済・心理的苦痛を総合的に支援する。心のケアにも注力し、同院に精神科と心のケア支援の仕組みを作る。

Q2 国の多大な支援があった震災の復興期間が終わり、石巻市の財政は維持管理費や高齢化に進展もあって厳しくなると見られている。旧市町の均衡ある発展と行財政改革への所見は。
 年間5億円を超える一般財源の繰り入れの石巻市立病院の機能強化と、経営改善。NPOや自治機能の向上のため、住民協働を進めるとともに地域自治システムの発展で、小規模多機能自治を目指す。私は以前から地域力強化に取り組んできたが、市役所機能を低下させる縦割りの前に効果は上がらなかった。縦割り改善が市政改革の上で最も重要。行財政課題は熟知している。総合支所との役割の見直しを行い、ICT推進、テレワークを進める。

Q3 石巻市の人口が減少し、特に半島沿岸部は深刻。旧市内でも空き家が目立っており、人口減少社会の対応策は。
 最終的に行政で必要とされることは、医療・介護・教育。半島沿岸部は本来地域包括ケアによる復興だったはずだが全くそうなっていない。高齢化が深刻な地域で、牡鹿・雄勝・北上の医療を石巻市立病院と連携し守ることが重要。女性を中心に就労支援を行って介護人材確保を進め、雇用と介護サービス確保を同時に進める。一次産業の保護を経済の論理だけでなく、環境の保全や高齢者の生きがい支援などの付加価値を認め支援する。

長氏 横顔記者会見 (73)

Q4 令和2年度の市民意識調査では、将来の街づくりに重要な項目は「安全で安心できる防災体制」「身近な医療施設」「働く場の創出」の順に高い結果となった。各項目についてどう取り組むか。まず安全で安心できる防災体制は。
 防災は町内会活動や公民館活動などが重要。公民館活動を推進する。また避難時の要援護者の支援策が不十分で、個人情報を条例制定で緩くする必要がある。またそれを町内会や民生委員などに任せるだけでなく、行政もその仕組みづくりに関わる。
 地域のつながり(ソーシャルキャピタル)を高めるために、私が担当した地域力強化事業などを充実させる。

Q5 身近な医療施設
 へき地課題のトップは「医療にかかれない」こと。石巻市立病院の総合診療専門医育成プログラムを維持発展させ、3年後より同院に毎年数名の地域で働きたい医師を招く。これで医師不足は改善する。同院改革と本来期待されている市の医療機関(牡鹿病院・雄勝診療所など)と連携し、医師育成・確保に努める。閉院した「わたのはクリニック」も再開させる。すでに在宅医確保の約束をしており、市内全域で訪問診療・在宅看取りが確実に行える。

Q6 働く場の創出
 女性の就労の4分の1は医療介護分野。そして医療介護ニーズは今後も確実に伸びる。県の介護人材充足率は全国最低。女性の就労環境を整える(保育の充実、24時間保育や病後児保育など)ことで、医療介護人材不足解消と保育など女性比率の高い就労の場が増える。復興公営住宅の維持に関する課題も医療介護の充実があればいずれ高齢移住者を受けていくことが可能。石巻の医療体制を強化し、高齢者が石巻で留まれるようにしていく。

Q7 解体が決まっている復元船サン・ファン・バウティスタ号に対し、市民が保存運動を展開している。この動きについての見解は。
 保存に全力を尽くす。私は当初より保存。クラウドファンディングなども活用し、市の文化遺産観光資源として中瀬に移し保存する。

Q8 女川原子力発電所2号機再稼働を巡り、避難計画の実効性について根強い住民不安をどう解消していくか。
 現状の避難計画には大きな不備があり、現状では再稼働反対。避難道路はもちろん必要だが、特に牡鹿病院・特養清心苑、特養雄心苑などの避難計画、特に夜間の問題は極めて非現実的であり、再稼働に反対。おそらく妙案はないと思われる。

Q9 亀山市政から継続・発展、または刷新するものは何か。総括的に伺う。
 地域自治システムの考え方は基本的に賛成。そのために必要な行政の縦割りや住民との対話があまりにも稚拙。地域包括ケアがなぜ重要政策となったか、市長自らが理解していなかったと思われる。職員との対話の欠如や、副市長の活用ができていないことも問題。しかし常に多忙で頑張られていたことは拝見していて、また上記のごとく必然であったが、地域包括ケアを重要施策とされたことには感謝している。


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