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子どもと共に学ぶ 「ネットとの共生」 ⑤提言

 日常生活や教育分野に浸透してきたデジタル端末。小学生に将来の夢を問えば「ユーチューバー」と答える時代である。ネットと子どもの距離は、大人の想像以上に近くなっている。それ自体は悪いことではなく、ネットやデジタル、情報分野への知識は今後、不可欠となるビジネススキルであり、若いうちから身に付けることで子どもたちの職業選択範囲も広がる。重要なのは、使い方。スキルを学ぶ過程が大切だ。

全5回連載(5/5)

 スマートフォンの適正利用を定着させるには、まず保護者の役割が重要となる。大人も日常生活で〝スマホ頼り〟になっている面も少なからずあるだろう。その中で、子どもにだけ使用時間を制限させるのは説得力に欠ける。保護者にとって息抜きや趣味、親子で楽しみを共有するものでもある。

 スマホ・デジタル端末を今後の生活から切り離すことはできない。ならば、まずは買い与える保護者側のスマホ利用にルールを設けるべきだろう。近年は、子どもとのスキンシップが減少しているという家庭が多く、取材の中心となった女川町でもそうした声が聞こえてきた。子どもとのふれあいは、成長過程に不可欠なもの。共働きが多い現代だからこそ、ふれあいの時間をスマホに割いてはいけない。

 そうした観点から未就学児・小学生の保護者には、子どもの前でスマホ・タブレットを使用する頻度を減らしてほしい。子どもたちの就寝後など使用時間帯を変更し、わが子との時間を設けよう。子どもに「1日2時間まで」とルールを設ける場合、保護者も加わって動画を楽しむ時間を加えてほしい。

 中高生の保護者にとっては、スマホの使用に「ああだ、こうだ」と口出しするのは難しい現実がある。中高生の方が保護者よりネットの知識にも長けている。その場合、保護者側から子どもに教わってはどうか。「面倒」「うざい」という言葉が飛ぶかもしれないが、子どもが保護者に教えることで身に付く知識、再認識するリスクもある。コミュニケーションの入り口として踏ん張ってほしい。

 学校や関係機関によるネット共生に向けた研修会が、PTA主催で実施される流れが広まることも期待したい。家庭に身近なデジタル端末だからこそ、家庭教育の中で適正利用を定着させることが、中高生の被害減にもつながるはず。何よりも、親子のふれあいの場を大切にしてほしいと切に願う。


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