見出し画像

空き復興住宅を福祉利用 県内初 石巻市十八成浜 石巻祥心会 障害者単身居住の場に

 社会福祉法人石巻祥心会(宍戸義光理事長)の共同生活援助事業所くじらのしっぽ=石巻市鮎川浜=は15日、石巻市営十八成浜復興公営住宅の空き4戸を活用し、障害者の単身居住の場「グループホーム山ぼうし」を開所した。転居や死去などで空き戸が出始めている復興住宅を本来の目的外で使うのは県内でも初めて。

 市は東日本大震災で自宅が被災した人向けに計4456戸の復興住宅を整備した。年月とともに入居した高齢者が福祉施設に入所したり、死亡したりと空き戸も出始めている。

 市は空き戸対策で入居者の一般募集や老朽化した既存市営住宅からの移転先に活用しているが、7月現在の管理戸数4441戸(市街地3868戸、半島部573戸)に対して空きは223戸(同194戸、同29戸)。特に半島部は市街地に比べ交通利便性も劣り、新たな入居希望者は少ないという。

空き復興住宅を福祉活用 十八成浜団地にグループホーム山ぼうし開所

「グループホーム山ぼうし」の開所をテープカットで祝った

 半島部の十八成浜復興住宅は、木造戸建て全24戸のうち8戸が空き。このうち4戸はまとまった利用が可能であることから福祉事業に一括で貸し出すことを決定。共同生活援助事業所くじらのしっぽが応募し、障害者の単身居住の場として借りることとなった。

 同事業所は鮎川浜に障害者グループホームを開き、活動支援を展開しているが、「地域に住み続けたい」という利用者ニーズに対応するため借用。4戸のうち、3戸は利用者が住み、残る1戸は共有スペースとして使う。

 式で祥心会の梶原里美理事は「障害のある人が地域で自分らしく暮らしていける自立支援体制を構築し、地域の福祉向上につなげたい」とあいさつ。齋藤正美市長も「復興住宅の新しい活用、あり方につながれば」と期待していた。

note用石巻グループホーム山ぼうし 開所式 (39)

 利用者の1人、藤澤正一さん(49)は父を病気で亡くし、母は市街地の介護施設に入所している。藤澤さんも市外施設に入所する道もあったが「生まれ育った牡鹿で働き、暮らし続けたい」との思いで、平成22年からくじらのしっぽのグループホームを使う。

 藤澤さんは「これまでグループホームで皆と暮らしてきたので1人暮らしは少し寂しく不安もある。でもドキドキ感もあり、大きな希望を持っていきたい。戸惑うことも多々あると思うが、地域の皆さんや職員と相談して楽しんで生活したい」と話していた。【山口紘史】


現在、石巻Days(石巻日日新聞)では掲載記事を原則無料で公開しています。正確な情報が、新型コロナウイルス感染拡大への対応に役立ち、地域の皆さんが少しでも早く、日常生活を取り戻していくことを願っております。



最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。