見出し画像

解体開始「体削られる思い」 係争中の世界ネットが会見

 木造復元船「サン・ファン・バウティスタ号」の解体工事が開始された10日、市民団体「サンファン号保存を求める世界ネットワーク」(白田正樹会長)は県庁で会見し、保存に賛同する署名が約1万3千筆に上ったことを明かした。工事開始に白田会長は「ざんきに堪えない。今後も粛々と裁判を進めていく」と話した。

 世界ネットは、10以上の団体や個人がサン・ファン号の解体に反対し、原寸大での補修・保存を求めて今年1月に結成。「十分な検討をせず解体工事をするのは違法」とし、村井嘉浩知事を相手取って解体工事への公金支出差し止めの訴訟を起こし、係争中だ。

サンファン号解体で世界ネット会見 (8)

署名簿を前に語る白田会長(右)

 一方で2月以降、街頭やインターネット上で賛同者の署名活動を展開。9日まで署名数は1万2876筆に上ったという。「世界中から賛同が集まった」と白田会長。その名簿を村井知事に直接手渡したいと、県に打診したところ「面会も受け取りも拒否された」と主張した。

 これに対し、県環境生活部消費生活・文化課は「拒否したということはない」と否定した上で「名簿は持ってきていただければ受け取る」と話している。

 県が10日から解体工事を始めたことについて白田会長は「体を削られる思い。残念でならない。県の姿勢が問われている」などと心境を述べた。今後は「裁判を粛々と進めていく」と説明した。

サンファン解体始まる午後 (67)

船体をつなぐ連絡橋が取り外された(10日)

 工事そのものをストップする仮処分申請の可能性は、当初から弁護士と協議したが、提訴できないとの結論に至った。代理人弁護士によると、原告側がサン・ファン号の所有権など何らかの権利を有しておらず、提訴できる立場にないという。今後は「解体に伴う公金支出が確認できた場合、現在の訴訟内容から知事を相手取った損害賠償に転じる可能性はある」とした。

 解体工事初日はサン・ファン号の船体につながる連絡橋が取り外された。年内にはマストが撤去され、その後、羅針盤など後に展示品となる部品を取り外し、1月中旬には船体の解体にかかる。3月末には完了する予定。【本庄雅之】


現在、石巻Days(石巻日日新聞)では掲載記事を原則無料で公開しています。正確な情報が、新型コロナウイルス感染拡大への対応に役立ち、地域の皆さんが少しでも早く、日常生活を取り戻していくことを願っております。



最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。