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避難計画実行性に疑問の声 女川原発2号機 再稼働住民説明 批判的意見相次ぐ

 東北電力女川原発2号機の再稼働を巡り、国や同社が地域住民の理解を求める住民説明会(県主催)が1日から始まった。初日は女川町の県支援学校女川高等学園を会場に実施。国の担当者らが2号機の新規制基準適合審査の経緯や結果、広域避難計画の内容などを説明した。参加者からは広域避難計画の実行性に対する疑問の声が聞かれた。説明会は19日まで、石巻や東松島など6カ所でも開かれる。【山口紘史】

 女川会場は定員400人に対し、事前申し込みした地域住民ら177人が参加。インターネット中継は約120人が視聴した。

 説明会では原子力規制庁が、今年2月に女川原発2号機の新規制基準適合を認めた審査結果について説明。「東京電力福島第1原発事故を教訓に重大事故防止対策や事故発生後の想定を強化しており、2号機は厳しい基準に適合した」と強調。対津波の防潮堤や森林火災を考慮した防火帯など各種災害を想定した安全対策を評価した。

 また内閣府の原子力担当は緊急時の対応で、5キロ圏内(PAZ)の住民(約1100人)は放射性物質が放出される前の段階から予防的に即時避難させ、5―30キロ圏(UPZ)の住民(約19万8千人)は一時的に屋内退避し、事故拡大の可能性を踏まえて段階的に避難する2段階行動を求めた。

 住民からは「国道398号は片側1車線。複合災害時に円滑な避難は難しい」「有事の際はより早く安全な圏外へと思うのが人の心理。UPZの全員が屋内退避を守るとは限らない」など計画への疑問の声が多く出された。

 国の各担当者は「避難訓練を通じて各課題を精査し、より万全な避難計画にする」「県や各市町と連携を密にし、情報伝達はしっかりと行う」などと回答した。

 説明会に出席した村井嘉浩知事は「説明会は再稼働ありきで実施したものではない」と強調した上で「住民の声を受け止め、県として対策を立て、国に物申していくことが大切」と述べ、立地自治体の須田善明女川町長は「(賛成や反対の)立場はさまざまだが、理解は得られたと思う」と話していた。

 2日は牡鹿会場(牡鹿中学校)でも説明会があり、44人が参加。こちらも避難計画の実行性に対する質問が相次いだ。
 今後の説明会日程と会場は次の通り。時間は南三陸会場を除き、いずれも午後1時から。▽8日=石巻市総合体育館▽9日=ビッグバン▽10日=万石浦中▽18日=東松島市コミュニティセンター▽19日=南三陸町総合体育館(午後6―9時半)

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